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モノづくりの裏側を支える3Dプリントサービス ~彫刻家 名和晃平さんとの取り組み事例紹介~

モノづくりの裏側を支える3Dプリントサービス ~彫刻家 名和晃平さんとの取り組み事例紹介~

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Installation view, “Japonismes 2018: les âmes en resonance,” Musée du Louvre, Paris, France, 2018

Throne
2018
mixed media
1040.0 × 480.0 × 330.0 cm
© Pyramide du Louvre, arch. I. M. Pei, musée du Louvre
photo: Nobutada OMOTE | SANDWICH
Remerciements : Musée du Louvre

 

DMM.make広報担当 勝野です。

今回は彫刻家の名和晃平さんにご協力いただき、DMM.make3Dプリントサービスの活用事例をご紹介させていただきます。


DMM.make3Dプリントサービスは2013年のサービス開始以来、2019年3月現在、約5万2,000人のお客様から17万件以上のご注文を受けてきました。
3Dプリント出力代行サービスとしては後発のサービスですが、2017年1月に株式会社アイジェットを完全子会社化、技術力の高い人材を確保するとともに適時最新のプリンターを導入するなど、人材、ハード、ソフト面でのサービス拡充を図り、業界を牽引してきました。


DMMの3Dプリントサービスは、法人のお客様からのご注文が大半を占めています。
利用用途の一例として、製品制作段階におけるプロトタイプ製作や製品の一部や主要部分に3Dプリンターを用いるケースも増えています。 

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 (上記サンプルはすべて3Dプリンターで造形しています。)

 

通常、プラスチックなどの成形品を作る場合、金型の製作が必須となりますが、金型自体の製造コストが数百万円から数千万円と非常に高額であり、さらに金型を保有しているだけで「資産」とみなされてしまい固定資産税がかかるなど、結果として単価が高くなってしまうため、3Dデータさえあれば1個から生産が可能な3Dプリントという新たな選択肢が生まれてきます。


今回は、もともと製作個数が少ないアート分野での活用事例をご紹介します。

名和 晃平 彫刻家/SANDWICH Inc.主宰/京都造形芸術大学教授
1975年生まれ。京都を拠点に活動。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。
2009年、京都に創作のためのプラットフォーム「SANDWICH」を立ち上げる。独自の「PixCell」という概念を軸に、様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。
近年は建築や舞台のプロジェクトにも取り組み、空間とアートを同時に生み出している。


■SANDWICH×DMM.make3Dプリントサービスの取り組みについて
フランス、パリのルーブル美術館・ピラミッド内に展示されていた「浮遊する空位の玉座」をテーマとした巨大彫刻作品“Throne”のエディションワーク版“Throne(g/p_pyramid)”を3Dプリンターで制作いたしました。

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Throne (g/p_pyramid)
2019
mixed media
155.2×72.6×49.5 cm
photo : Nobutada OMOTE | SANDWICH


元々の作品は高さが約10.4mある巨大な作品です。それを約1.5mのスケールにしたエディションワークの3Dプリントを複数納品させていただいております。
※エディションワーク…あらかじめ生産数を決めて作品を作る事。
今回、DMMへの発注の経緯を名和さんご本人にインタビューをさせていただく事ができました。

■巨大な作品を小型化した経緯
元々の作品はサイズが大きくコレクションされにくいという特性があり、エディションワークとしてこのプロジェクトに賛同頂いた方々にコレクションしてもらえる機会をつくるために制作しました。

 

■作品制作において3Dプリントを選択した経緯
Freeformという3Dソフトウェア用いてボクセルデータで造形した複雑な形状の作品なので、3Dプリンターを使う事が最も合理的であると判断しました。
同時に日本古来の伝統的な金箔技術も使用したいという希望があり、現代の技術と伝統技術の融合に関心があったため、今回のプロジェクトが実現することとなりました。

 

■DMM.make3Dプリントサービスを選択した理由
アーティストに対する協力姿勢が一番の理由です。
10年ほど前から3Dプリントを活用していますが、当時から価格が下がらず2年ほど前からさらに価格が上がり困っていました。中国など、海外の会社に発注する事もありましたが、価格は安いもののクオリティーが安定せず、安心して使う事ができませんでした。その点DMMはクオリティーが安定しており、制作者として非常にありがたいです。

 

■今回DMM.make3Dプリントサービスに制作を依頼して気づいたこと。
恒久的な彫刻作品として、どういう素材がベストか探っていきたいです。
漆や金箔など、日本古来の伝統的な技術との親和性があるとも感じていますが、素材自体の剛性など見えない部分が重要であるため、今後共に模索していきたいです。
3Dプリンターは、恒久的な美術作品としての検証がまだ乏しく、劣化した際にどうやってリセットをするかが非常に大事だと考えています。
京都や奈良の仏像は1,000年近く姿を保つことができるのですが、例えば、表面の彩色には膠(にかわ)・漆・貝の粉などが使用されており、再度塗り直す際には古いものをお湯で溶かすなどリセットができるように作られています。3Dプリントで作品を制作した場合も、用途毎にその素材をどうやってリセットできるのか考える必要があります。スタジオでも検証を進めていますが、熱による膨張や剥離など、素材特性を把握したうえで作品制作に望みたいです。

 

■苦労した点・工夫した点
3Dプリント用データの作成が難しかったです。
素材特性やパーツ単位での限界サイズなど、プリンターの特性を理解した上で対応する必要がありました。また、制作にあたり金箔職人さんの意見も聞きながら進める必要があり、実物を職人さんに見ていただきながら、調整を進めました。

 

■今後3Dプリンターを使って試してみたい事
建築などの一部に3Dプリンターを使うのも面白いと思います。
コンテンポラリーダンスの舞台も行っていますが、衣装やフェイスマスクにも十分活用できると思うので試していきたいです。

 

■本作品制作におけるDMM側の役割
比較的大きな造形物であり、過去の事例からもレーザー跡による不自然な段差や収縮が発生してしまう恐れがあり、作品の特性上、回避すべき課題でした。

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接着など、加工の手間が増えてしまうものの、作品自体を複数パーツに分割することで段差の発生位置をコントロールし可能な限り目立たないようにしました。
さらに出力過程でも造形する際の向きを微調整するなどして対応させていただきました。


■さいごに
DMMグループではわたくしたちと一緒に働いていただける方を募集しています。様々な切り口でDMMの各事業をPRしていただける方を募集しています。ご興味のある方はぜひご応募ください。

 

dmm-corp.com