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新しいロールモデル制度「DMM Tech Experts」が「エンジニアリングは好きだけど、管理職にはつきたくない」と思っている人の意識を変える

新しいロールモデル制度「DMM Tech Experts」が「エンジニアリングは好きだけど、管理職にはつきたくない」と思っている人の意識を変える

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2021年12月、エンジニアやデザイナー向けのロールモデル制度「Tech Experts(テックエキスパート)」がスタートしました。ロールモデルの選出方法はトップダウンでは行わず、社員へのアンケート結果を重視したボトムアップで選びました。

【目次】

 

ロールモデル制度の主な目的は、人を通じた「Tech Vision」の浸透

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石垣 雅人(いしがき まさと) メンバーシップサービス部 部長 兼 VPoE室

2015年度 エンジニア新卒入社。2020年度より、DMMの入り口である総合トップなどを管轄する総合トップ開発部の立ち上げを行い、部長を務める。現在は、DMMポイントクラブの立ち上げからスケール、DMMの3500万会員のID・個人情報を管轄する開発部の部長を務める。また、DMM全体のエンジニア・デザイナー組織課題を解決するVPoE室を兼務している。著書 『DMM.comを支えるデータ駆動戦略』(マイナビ出版)。WEBメディア『ProductZine』にて「スモールチームが武器になる時代へ」を連載中。

 

ーーいきなり本題ですが、新たに導入した「Tech Experts」はどのような制度ですか?

石垣:エンジニアやデザイナーを対象としたDMMの社内ロールモデル制度です。目的は3つで、「カンファレンスやコミュニティ形成などを通じた専門領域における貢献」「組織内での横連携の促進」「後進の育成」ですね。

今回、制度の発表と同時に初代ロールモデルの7名も発表しました。次回は半年もしくは1年後に新たなロールモデルを選定し、継続的に増やしていく予定です。

 

ーーこのタイミングでスタートした理由はありますか?

石垣:エンジニアの活動方針である「DMM Tech Vision」の発表から3年が経ち、アップデートも行いましたが、その内容を改めて社内に浸透させる必要があったからです。

「DMM Tech Vision」には、「AGILITY(敏捷的)」「ATTRACTIVE(魅力的)」「SCIENTIFIC(科学的)」「MOTIVATIVE(意欲的)」という4つのキーワードが掲げられていますが、組織の拡大とともにその認識に対するズレが生まれてきたのも事実です。

キーワードが意味しているところは、実際にそれを実行している人の行動を見る方が理解しやすい面もあります。そこで、キーワードの指し示す概念をすでに体現しているメンバーを選定し、公表することにしたんです。

 

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ーー制度設計にあたり、とくに力を入れた部分はありますか?

石垣:他社のロールモデル制度はどちらかと言うと社外に対してアプローチする要素が強いと思いますが、「Tech Experts」制度では社内で効果を生む要素に重点を置きました。具体的には「組織内での横連携の促進」や「後進の育成」といった部分です。

VPoE室としては、タグによるゆるいつながりをフックとした座談会の促進や、ロールモデルとメンバーが気軽に話せる社内版の「Meety」のようなツール開発でロールモデルの活動をサポートしていきます。

ロールモデルの社外向け活動に関しては、すでに「コミュニティ支援」や「カンファレンス参加支援」という制度があるため、これらを活用してもらえればと思います。

 

「この人みたいになりたい」という指針が、エンジニアやデザイナーの成長を加速する

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ーーそもそも「Tech Experts」は、どのような経緯で導入にいたったのでしょう?

石垣:VPoE室では以前から、エンジニアのモチベーションを上げるためには「賞賛の機会」が必要だと感じていました。今回のような制度なら、選ばれたロールモデル自身がモチベートされるだけでなく、それ以外のメンバーも「この人みたいになりたい」という目標が持てます。

実際、導入前に社内のメンバーにヒアリングを行ったところ、「ロールモデルがいる人はそうでない人よりもモチベーションが高い」ことがわかりました。

 

ーーロールモデルがいるだけでモチベーションが高まるんですか?

石垣:与えられた仕事をこなしているだけでは目標を見失ってしまいがちですが、ロールモデルがいることで「この人のようになるためにはこんな成長ルートをたどれば良いんだ」という1つの指針になりますよね。

実は「Tech Experts」制度ができる前から、VPoE室のメンバーは社内のエンジニアからキャリア相談を受ける機会がたくさんありました。VPoE室のメンバーをロールモデルと認識して、自身をモチベートしていた人もいると思います。

そうした水面下での動きを制度化することによって、より多くの人にモチベーションを高める機会が提供できると考えています。

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ーー「Tech Experts」制度の導入により、具体的にはどのような変化を期待していますか?

石垣:ロールモデルを通して、社内にたくさんのつながりを作ってほしいですね。

コロナ禍によってリモートワークが進み、以前よりもがつながりが生まれいくくなっています。しかもDMMには50以上もの事業があり、事業部制やカンパニー制を取っているため、担当する事業が異なればエンジニア同士でも分断が起こりがちです。でも、隣の事業にすでに知見があるなら、それを共有するだけですぐに進められることもあります。分断=サイロ化を解消するためにもこの制度を活用してほしいと思っています。

また、つながることで自分とロールモデルの差分をきちんと認識し、成長スピードをどんどん上げいってもらいたいですね。

とくに制度を活用してほしいのは、入社3〜4年目の中堅層。若手は勢いがあるので急成長している人が多いのですが、次第に成長スピードは鈍化してしまいがちです。中堅層はDMMのエンジニア組織で大部分を占める重要な人たちなので、しっかりと制度を活用し、ロールモデルに追いつく方法を考えてもらえたらうれしいです。

 

社内での効果にこだわり、ボトムアップの選出方法で「潜在的ロールモデル」も発見

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ーー「Tech Experts」制度を作る際に、こだわったポイントはありますか?

石垣:ロールモデルの選出方法です。今回はトップダウンでの選出は行わず、社員へのアンケート結果を重視したボトムアップの選出方法を取りました。社内での効果にこだわったからです。

アンケートでは、「ロールモデルにしている人」と「将来ロールモデルになりうる人」を聞きました。前者だけでは「自分と専門分野が近い人」しか挙がって来ないでしょうが、後者の質問で「潜在的なロールモデル」もすくい上げられると考えたんです。

その結果、アンケートの上位に想定していなかった複数の人が含まれていました。社外への露出度は高くないものの、ある領域を突き詰めている「ツチノコ的なロールモデル」が見つけられたと思っています。これがきっかけとなり、本人や周囲に良い影響が広がることを期待してます。

 

ーー石垣さん自身も初代メンバーに選ばれていますが、「Tech Experts」のロールモデルとしてどんなことに挑戦したいですか?

石垣:マネジメントに重点を置いたキャリアパスの魅力を伝えていきたいと思っています。マネジメント層の仕事を単なる「管理」だと思っている人が多いようなのですが、マネジメントとは本来「なんとかする」といった意味なんです。「エンジニアリングは好きだけど、その上の管理職にはつきたくない」と思っている人の誤解を解くために、社内で積極的に発信活動を行っていきたいですね。

 

構成・編集/平 格彦  取材・執筆/一本麻衣  撮影/高山潤也