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オフィス全焼より辛かったDMMでの3年間。 インフラトップCEO大島が次にやりたいこと

オフィス全焼より辛かったDMMでの3年間。 インフラトップCEO大島が次にやりたいこと

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プログラミングスクール「DMM WEBCAMP」を展開するインフラトップ。DMMにグループインしてからの3年間こそ心が折れかけたと語るCEO大島。

【目次】

 

起業してすぐ、オフィス兼教室が火事で全焼して絶望

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——2014年の創業時からずっとプログラミングスクール事業を展開しているんですか?

大島:ええ、そうです。未経験の方がプログラミングスキルを学べるスクールは他にもありますが、「学習後の転職支援が手厚い」という点ではどこにも負けていないと思っています。

生徒さんには決して安くない額を払ってもらっています。せっかく学んだのはいいけど、何も変わらないっていうのがいちばん嫌じゃないですか。だから、そのスキルを活かせる場所まで探してあげたいと思っているんです。

 

——転職成功率も98%と聞きましたが、これってすごい数字ですよね?

大島:おかげさまで、転職成功率98%は業界でもトップクラスの実績です。

でも、最初の数年間は何ひとつうまくいかないっていうくらい悲惨な状態でした。まず、起業してすぐオフィスが全焼したんです。

 

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——全焼!?

大島:スタートは学生起業だったので最初の数ヶ月はカフェで仕事をしていたんですが、その後、オフィス用にマンションを借りられることになりました。といっても1LDKの狭い部屋なんですけど。僕とメンバーの仕事用に机を4個並べて、残りの空いたスペースは生徒さんのための教室として使っていました。

1年ぐらい経ったあたりですかね。夜中の2時に僕の携帯へ鬼電がかかってきました。知らない番号だったのでしばらく出ないでいたんですが、なかなか鳴り止む気配がない。恐る恐る出てみたら警察の方から「あなたの部屋が燃えています!」って言われたんです。急いで駆けつけると、すでに消防車が10台くらい集まっていました。消防隊の方たちが燃えさかる炎に必死で水をかけている光景を見ながら、立ち尽くすしかありませんでした

 

——それは相当キツいですね。自分だったらきっと絶望します。

大島:本当にそんな感じでした。あの頃はまだ僕も学生で、そういった対応にも慣れていませんでしたから。ストレスで水を飲んだだけでも吐いてましたね。

今は笑い話にできるんですけど(笑)。

 

資金調達、リファラル採用、満足度アップで最下位からトップへ

 

——思わぬ災難でつまずいてしまったわけですが、事業自体は好調だったんですか?

大島:いえ、それがまったく(笑)。

当時は生徒さんもなかなか集まりませんでした。それこそ10人ぐらいしかいなかったと思います。

完全にサービス品質の問題でした。もともと僕もメンバーもプログラミングをやっていたわけではありませんし、教え方に精通している人間もいませんでしたから。もちろん僕らも猛烈に勉強はしていましたが、その時点では生徒さんたちを満足させられるレベルにはぜんぜん達していませんでした。当時30ほどあったプログラミングスクールの中で、おそらく最下位だったと思います。

 

——今は業界のトップに君臨しているのが信じられませんね。

大島:その後の資金調達と採用のおかげで、会社の成長にレバレッジをかけることができたんです。そもそも日本のエンジニア不足は深刻な状態。サービスはまだボロボロでしたが、プログラミングスクールの可能性は絶対にあると確信していました。投資家の方たちには会社の伸び代を理解してもらって、まずは3000万円、それから1.6億円を調達することができました。

 

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大島 礼頌(おおしま あやのぶ) 株式会社インフラトップ 代表取締役/CEO

2014年に株式会社サイバーエージェントキャピタルに入社。同年11月、株式会社インフラトップを創業。代表取締役を務めながら、2015年に株式会社リクルートに入社。その後プログラミングスクール「DMM WEBCAMP」を立ち上げ、インフラトップに専念。業界最高水準の転職成功率を実現し、2018年11月にDMM.comにグループイン。

 

採用では、とにかくリファラルを重視しました。僕らの会社は知名度が抜群にあるというわけでもないですし、大手企業に比べたら給与や福利厚生だって見劣りするかもしれません。だけど「それでもここで働いてみたい」と非合理的な意思決定をしてくれる人がいました。何が決め手になったかと言ったら、僕たちの熱量です。リファラルでは熱量を伝え続けて、多くの優秀なメンバーを集めることができました

 

——そこからサービス品質も安定して良い循環が生まれたということですね。

大島:その通りです。この事業は生徒さんの満足度をいかに高めるかにかかっています。だから、創業時から目先の数字だけを追うようなことはしていません。生徒さんに満足してもらえず悔しい時期もありましたが、僕たちは失敗のたびに学び、サービス品質を高め続けてきました。「生徒さんに寄り添う」なんて言うとキレイ事に聞こえるかもしれませんが、結局それがいちばん会社のためになるんです。

 

DMMにグループインしてからの「3年間」ガマンの時期

 

——「もう辞めたい」と思ったことは一度もないんですか?

大島:少なくとも会社の経営がうまくいかなくて辞めようと思ったことは一度もありません。むしろ刺激がない時に辞めたいというか。本音を言えば、2018年にDMMへグループインしてからの3年間は僕の人生の中でもっとも心折れかけた時期ですね(笑)。

 

——そんなこと言っちゃって大丈夫ですか(笑)。

大島:明らかに僕に生気がなかったので、周りの方々も絶対わかっていたと思いますよ(笑)。ただ勘違いしてほしくないんですけど、DMMグループが嫌だったという話ではありません。僕の性格の問題です。

もともと僕は、いろいろなことにすぐに興味が湧いて、どんどん新しいことをやりたくなってしまうタイプ。だけど、グループインした時期が、事業を着実に伸ばすフェーズと重なっていました。そうなると経営者としては「やりたいこと」より「やるべきこと」を徹底しないといけない。そのガマンがとにかく辛くて辛くて。

 

——亀山会長から売上のプレッシャーがあったわけではなくて?

大島:会長から変なプレッシャーは一切ありません。むしろ稟議なんてすべて通してくれて、めちゃくちゃやりやすかったです。そこは、本当です(笑)。

 

——実際、売上は伸びたんですか?

大島グループインしてから3年で売上は7倍まで成長しました。そういう意味では、結果はちゃんと出せたという自負もあります。だからこそ、次のステップに進みます。

 

新コースを発表し、学習歴でキャリアが広がる教育機関も構想

——会社として次はどんな展開を考えていますか?

大島:さらなる事業づくりのため、2022年からは挑戦のフェーズに突入します。まずはそのひとつとして、新たな学習コースを8つリリースしました。その受講開始日が、ちょうど1月24日です。

 

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もはやプログラミングだけに限らず、何をするにもITスキルが必須の時代。生徒さんが学びたい内容も多様化しています。そのため新コースでは、従来のプログラミング学習コースに加えて、「はじめてのプログラミングコース」「Webデザインコース」「動画クリエイターコース」など、幅広い内容を用意しました。

エンジニアになりたいわけではないけどプログラミングをやってみたい。エンジニア採用の質を高めるために人事担当としてプログラミングの基礎を押さえておきたい。副業を見据えてWebデザインや動画編集を学びたい。そんな声にも応えていきます。

これまでは転職特化型のプログラミングスクールをメインにやってきましたが、今後は少しでもITスキルの習得に興味がある方々のサポートもしていきたいと考えています。

 

——大島さんにはまだまだ野望がありそうですが。

大島:実は、会長とずっと話し合ってきた計画があります。ゆくゆくは大学に変わる完全オンライン型の教育機関を立ち上げたいんです。卒業さえすれば得られる学歴ではなくて、入学してからの「学習歴」によってその人のキャリアが広がっていく。そういう世界を作っていきたいです。

 

構成・編集/平 格彦  取材・執筆/橋本 歩  撮影/甘野 友幹、高山潤也