課題
デザイナー視点で感じていた課題は、デザイン価値の認知と持続的な開発の実施についてです。
「デザイン価値」が認知されづらい
デザイナー同士であれば、デザインの意図を理解し、それがどのような思考プロセスを経たものなのか、また、目的に沿った表現がビジュアルに落とし込まれているかどうかなど、プロセスを逆算することで、アウトプットの評価ができますが、デザイナー以外の人に同様の方法で理解してもらうのは難しいです。
利益や結果に責任を負うビジネス側と、一方で、結果までのプロセスやユーザーを優先するデザイナーなど、役割が異なる専門家がひとつのチームとして協業する現場では、アプローチ方法や思考プロセスの違いが原因で「相互理解」が得られにくい状態になってしまう場合もあります。
「持続的なデザイン改修」が実施されづらい
サービスの状況的に、利益回収を急ぐ施策が優先的に実施される場合、明確な利益予測がされていない改善施策は進みづらい状況になりがちです。
「プロダクトがユーザーに届いた時の使い勝手」を追求するデザイナーが、「定量値を意思決定の手段の一つ」としているビジネス側に対し、「定性的な投資対効果が見えにくい提案」をしたところで、確実な成果をイメージさせることはできず、十分な理解は得難いでしょう。
つまり、ビジネス側の意思決定がしやすいコミュニケーションができていないことが原因で、「理解/評価されづらい」 → 「持続的なデザイン改修が実施できない」 → 「成果が出ない」 → 「デザイン価値が認知されづらい」といった悪循環に陥っていました。
対策
対策として行なったのは、データに基づいたデザインロジックの説明と、データドリブンな改善サイクルの実施です。
「定量 × 定性データ」でデザインロジックの説明
デザインは感性とロジックの調和が重要であり、数値などの定量的な側面と「ユーザーの感情(見て感じる印象と認知の効果)」という定性的な側面の双方のデータから読み取れるユーザー心理を深読みすることで、ビジネスの目標達成に必要なユーザーの行動を促せると、まずは丁寧に説明しました。
データ分析から読み解いた課題と、デザインを作るうえでの工夫を関連付け、ビジネス側がわかりやすい数字( KPI )に貢献できると説明することで、実施したい取り組みに対する理解が得られやすくなります。この際、デザイナー同士でしか理解できない専門用語は使わず、デザイナー以外の人でもわかる表現で伝えることを意識しました。
デザインの感覚的要素の裏にあるデータと、データの裏にある感性を意識することで、「感覚値の解像度」を上げていくことができます。
「データドリブンな改善サイクル」の実施
「調査・分析・改善・共有」のサイクルを通して、デザインプロセスの可視化とデータに基づいた投資対効果の見える提案を実施しました。
【現状の可視化】
- 「利用ユーザーの分析」をすることで、利用しているユーザーの実態を可視化し、「優先すべきターゲットが何を求めているか?」を検討できる。
- 「既存機能の利用分析」をすることで、正しく利用されている機能とそうでないものを判別でき、「優先して改善すべき機能」を検討できる。
【改善の継続】
- 「対策のアイデア」をデータから導き出すことで、「確度の高い施策」を提案できる。
- 「テスト設計」をしっかり行うことで、「施策で期待した効果の有無」を判断できるデータを取れるようにする。
- 「小さくテストを継続」することで、検証データの収集・分析を行い「循環的に優良な検証と、ユーザー心理の探求」を継続できる。
- 「検証を経て効果が見込める」施策やデザインを通じて、サービスを利用していただくユーザーに「より良い体験」を届けられる。
【ナレッジの活用】
- 「小さな改善サイクルで得られたナレッジを蓄積」し、さらに繋げて分析することで「類似した課題を解決する際の根拠」として利用できる。
- 「大きなデザイン改善を提案」する時にも、アイデアやロジックの妥当性を、裏付けるためにナレッジを活用し、ビジネス側に「適切な意思決定」を促せる。
- 「対策の結果を必ず共有・説明」することで、成功するデザインのパターンが少しずつデザイナー以外にも理解され、ビジネス側もデザイン施策に協力してくれるようになる。
分析ツールと手段
これらを実践するためには、目的に応じて分析ツールを使い分けることが重要で、意識してやりきるポイントがあります。
よく使う分析ツール
分析する深さに応じて、ツールや手段を使い分けます。「どこに課題があるのか広く探ることを繰り返す」場合、または「専門的な分析手法やアルゴリズムの導入が改善スピードに追いつかない」場合には以下を利用していました。
【Googleアナリティクス】
インサイトを調査するために、ターゲットユーザーの属性 / サービスへの集客経路 / サービスの利用行動などを分析。
【ABテスト】
デザインを構成する要素( 色・テキスト・画像 )を1つ変えたクリエイティブを2つ以上、同じ条件で利用してもらい、結果を比較することでどちらが期待した効果を得られるか検証できます。
【ユーザーの声】
サービス利用についてのアンケートや、カスタマーサポートへの問い合わせ情報など、定量化が難しい定性的なインサイトも貴重なデータのひとつです。
データはあくまで手段の一つ
- データはそのままでは利用できず、集計結果からユーザ心理をはじめとした洞察が必要となる。
- 調査や集計だけに執着せず、その結果を施策にまで昇華しないと活かせない。
- ビジネスを一緒に進める皆がわかる形で提案する「共通言語化」も必要。
結果とまとめ
デザインをサービスに携わる皆が理解できる「数値」として可視化することで、意思疎通できる「共通言語」となります。
デザインの理解が深まることで、デザイナー主体の提案が通りやすく「持続的なデザイン改善」をできるチームとなり、データを意識する文化が根付きました。
取り組みの一部ですが、LPの改善事例の結果をご紹介すると
「直帰率:85% → 55.63%」「CVR:1.75 → 3.66%」と、サービスの利益に直結するKPIが大きく改善されました。
※ 年間集計で前年度との比較した際の数値です。
データ分析は正誤を判断するものではなく「新たな可能性を発見し、成果を生み出すための手段」として、デザイナーにとっても身近なものになっており、デザインがもたらす「ビジネスへの貢献」を証明する武器となります。
データドリブンなデザインで、デザイナーの価値向上を目指していきましょう!
最後に
DMMでは、一緒に働く仲間を募集しています。ご興味のある方は、いつでもお気軽にご連絡ください!