2018年11月にDMM.comに買収された、転職保証型プログラミングスクール「DMM WEBCAMP」を運営するインフラトップの経営陣3名にインタビュー。代表取締役CEOの大島礼頌さん、元執行役員の長谷川優さん、元執行役員CMOの高澤悠介さんにお話を伺います。
インフラトップが目指すのは「業界のリーダー」。DMM.comのメンバーとなり、大阪校の立ち上げを行い、今後はグローバル展開を見据えるなど、ますます勢いを増しています。
「DMMの新しい柱になる」と意気込む3人に、グループに合流するまでの歩みと今後の展望について語りました。
教育システムの非効率を打破、転職成功率98%。インフラトップは、なぜDMMを選んだのか
インフラトップは、2018年11月にDMM.comに合流したとお聞きしています。まずは、事業概要についてお伺いさせてください。
大島:インフラトップは、転職保証型のプログラミング教育事業を展開する企業です。2014年の創業以来、3,000名以上の卒業生を輩出しています。学生時代、就職活動を終えて入社するまでの期間で、「自分が最も没頭できることに時間を使おう」と考えた結果、起業することを選択しました。
僕が人生をかけて成し遂げたいことは「人びとの目標や夢を叶えるサポートをする」ことです。僕がビジネスを通じてビジョンを達成するために選んだのが、ITエンジニアとしての転職支援を目的とした転職保証型プログラミングスクールでした。
執行役員の長谷川さんも、創業時からのメンバーだとお伺いしています。どのようにして、インフラトップにジョインされたのでしょうか。
長谷川:実は、大島とは学生時代から知り合いでした。彼が「人生を変える教育事業を手がけてみたい」と僕に話してくれたことが、ジョインのきっかけです。話を聞いて「これから間違いなく成長するマーケットだ」と確信したし、事業の立ち上げは僕が最も得意とする領域だから、力になれると思ったんです。
「いずれ一緒に事業を立ち上げたい」と思うほど大島の考え方や人間性に惹かれていたこともあり、インフラトップのメンバーになることを決意しました。
大島:長谷川は創業間もなくしてメンバーになってくれているので、「ジョインした」というより、「共同創業」と表現するのが正しいかもしれません。
彼は人の内面を理解する力が強みなのですが、僕は苦手です。逆に長谷川の苦手なことが、僕は得意だったりする。お互いの得意を掛け合わせれば、組織を成長させられると信じ、共に経営していくことを決めました。
大島:日本は今、深刻なIT人材不足に悩まされています。プログラミング教育事業を展開する企業として、この社会的な問題の解決に貢献したいと考えたとき、DMM.comのメンバーになることが必須だと感じました。
DMM.comはテックカンパニーを志向しており、僕たちが合流するタイミングで「DMM Tech VIision」を発表しています。
日本のテクノロジー企業を代表するDMM.comのメンバーになり、教育という領域からグループ全体を牽引することで、社会への貢献と「学びと仕事を通して人生を最高の物語へ。」という私たちのビジョンも叶えられるのではないかと考えたのです。
高澤さんは、インフラトップがDMM.comにグループに合流したタイミングで参画されたとお聞きしています。
高澤:僕も以前から大島と付き合いがありました。何度か声をかけてもらってはいたものの、合流のタイミングで正式にオファーを受け、メンバーになることを決めました。
以前は外資系の消費財メーカーに勤務していたのですが、前職よりも大きな裁量権を持ち、20代のうちに大きなチャレンジをしたいと考えたことが入社の決め手です。オファーをもらってすぐに入社を決め、翌日には上司に退職の意向を伝えました。
大島:入社が決まってからオフィスに来るまで、本当に早かったよね(笑)。DMM.comに合流したタイミングは、彼のマーケターとしての経験やスキルセットが最も活かせるフェーズでした。「インフラトップなら、もっと成長できる」と、自信を持って誘うことができましたね。
高澤:マーケティングに従事する点では、前職と役割が大きく変わることはありません。ただ、インフラトップでの仕事には、前職よりも“手触り感”があります。
スクールを受講する以前は不安で一杯だった生徒さんが、実力をつけ、ITエンジニアとして卒業していく。卒業時のインタビューで「自分でも信じられないです」と胸を張る姿を見て、ただ売上を伸ばしたり、シェアを獲得すること以上に、社会への貢献を強く実感できています。
全国展開の一歩目として、プログラミングスクール未開の地「大阪」へ進出
DMM.comに合流して、およそ1年が経ちました。合流する以前と現在を比較し、どういった点に変化がありましたか?
長谷川:スタートアップは資金面の脆弱さから、自分たちが本質的に解決すべき課題に向き合えないことが少なくありません。しかしインフラトップは、DMM.comへ合流したことでファイナンス面が安定し、大きな挑戦ができるようになっています。
また、DMM.com内のさまざまな事業部とシナジー効果を生むことができていますし、経験の多い先輩方からナレッジを共有していただく機会も増え、急速的に事業が成長しています。「やりたい」と言えばやらせてもらえる自由度の高さも、DMM.comの強みだと感じていますね。
大島:プログラミングスクールの数は増えていますが、中にはクオリティが低く、マーケティングドリブンで集客しておしまい——つまり、売上を伸ばすことが目的化してしまっている企業も少なくありません。しかしそれでは、IT人材不足という、日本が持つ課題を解決することはできません。
ところが私たちはDMM.comに合流したことで、優れたエンジニアを市場に送り出し、日本の経済発展に寄与するという、私たちが本当にやるべきことに情熱を注ぐことができるようになりました。
現在は大阪校の立ち上げをはじめ、新たな動きをされています。
長谷川:東京では当たり前になりつつプログラミングスクールも、大阪ではまだ市場ができていません。「スクールに通ってITエンジニアとして転職する」ことを、これから大阪、ゆくゆくは全国的な当たり前にしていかなければいけません。そうした未開の地に挑戦できるのも、DMM.comの後押しが大きいと思っています。
大阪でプロダクトを根付かせることができれば、業界のリーダーになれると確信しているので、全力でチャレンジしていく覚悟です。
生徒の人生を、最高の物語にする
インフラトップが運営する「DMM WEBCAMP」は、数あるプログラミングスクールのなかでも「転職成功率98%」です。なぜ、こうした結果を出せているのでしょうか。
長谷川:私たちはいつも、生徒さん一人ひとりの人生に向き合うことを徹底してきました。「生徒さんを正しい方向に導く」という信念を持っているからこそ、業界屈指の転職成功率につながっているのだと思います。
高澤:卒業生の方からは「人生が変わりました!」とメッセージをもらうことも少なくありません。株式会社なので売上を伸ばすことが至上命題ですが、メンバー全員が目の前の生徒さんの人生を変えることに本気でコミットしているので、常にビジョンを見失わずにいることができ、結果につながっているのでしょう。
長谷川:「DMM WEBCAMPを選んで良かった」という声が、業界を大きくしていくと信じています。今後グローバル展開も見据えているからこそ、まずは東京と新拠点の大阪から、生徒さんが心から満足いく授業を提供していきたいです。
お三方のお話から、「学びと仕事を通して人生を最高の物語へ。」というビジョン達成への本気度が伺えました。
長谷川:大前提として、教育に関心があること。その上で、「どうしたら生徒さんに喜んでもらえるのか」といった、目の前のことに全力を尽くせる人材である必要があります。
高澤:未経験のことにもチャレンジしなければならないフェーズなので、ゼロベースで事業をつくっていける能力も求められます。そのためには、周囲を巻き込む力が必須です。
生徒さんにサービスを届けるのは、経営層ではなく教室にいるメンバーたち。彼らを巻き込み、動かす、マネージャーとしての視点を持っていてほしいです。
大島:マネージャーの仕事の本質は「メンバーに成果を出させる」ことです。インフラトップの組織は風通しがよく、心理的安全が確保されています。意見しやすい雰囲気ゆえに、激しい議論をすることもある。もちろん、良いアイデアは、経営陣からインターンまで、誰のものでも採用するスタイルです。
たとえば、弊社のオンラインチャットには何かを達成したときに「ドヤ」とみんなに自慢するためのチャンネル「ドヤチャン」があります。ドヤチャンに投稿すると、職種や役職に関係なく多くのメンバーがコメントやスタンプで反応します。社員の士気を高める上で欠かせない文化になっているこのチャンネルは、エンジニアのメンバーが提案してくれたものでした。
さらにこのチャンネルを通じて、たとえば自主的に教室の環境を整えるメンバーがいたり、お互いにカウンセリングの質を高め合ったりと、サービスの向上につながっています。このように、主体性を持ったメンバー全員をしっかりマネジメントしてほしい。求められるレベルは高いかもしれませんが、創業以来、今が最も成長できるフェーズです。新たな挑戦を通じ、自分を高めていくには、最適な環境だと思っています。
長谷川:仕事でうまくいかないと、人生を諦めてしまう人も少なくない。でも、僕らの事業なら、そうした人たちを救える可能性がある。卒業生から「人生が変わった」と心の底から感謝してもらえる感動を、インフラトップなら得られるはずです。
構成:オバラ ミツフミ 編集:岡島 たくみ