こんにちは。デザイン本部のマルシオです。
DMMのアートディレクター・光岡いさおが主催する「デザインコンセプト勉強会」。
第5弾となる今回のテーマは「UX手法を取り入れたブランド戦略」。
デザイン本部UX部の西部渉、同じくデザイン本部アートディレクターのaiperが講師を務めました。
DMMオンラインサロンのサービス構築の際に行ったブランディング手法を実例に、ブランディングが事業の利益にどう貢献したかを辿ります。
ブランディングの進め方
さまざまなシーンで広義に使われることが多い「ブランディング」という言葉。
今回の勉強会では、
プロモーションがなくとも、揺るぎない価値を生み出し提供すること
と定義づけました。
オンラインサロン事業に沿った
- 市場
- ターゲット
- 印象
- ニーズ≒シーズ
を順に追うことで、ブランディングを行っていきます。
市場
「オンラインサロン」というまだまだ認知度の低いサービスを展開するにあたり、まずは「どんな内容のサービスなのか?」をユーザーに訴求することを目的にブランド構築をスタート。
また、代表的な競合である『Synapse』との差別化や、その後の『Synapse』との合併も契機になりました。
共同でサービスを構築することになり、この段階ではロゴも仮のものだったため、一からブランディングを実施しました。
ターゲット
ターゲットとは、「サービスに適したユーザー層」。
いわゆる「ペルソナ」と類似していますが、「ペルソナ」との違いは「長期的に愛用してくれて、口コミなどで情報発信を積極的に行ってくれる理想的なユーザー像」であること。
1度だけでなく、継続的に利用してくれるユーザー像をあぶり出します。
まずは、オンラインサロンとはどんなユーザーに向けたサービスなのか、ワークショップでキーワードを出しました。
出てきたキーワードを事業メンバーと共有し、ターゲット像を具体的にしつつ、ターゲットを表すキーワードを精緻化します。
印象
ターゲットがブランドパートナーとして確立されたら、次はブランドパートナーをさらに深掘りします。
ブランドパーソナリティを構築することで、サービスに関わるメンバー間でターゲットの印象をすり合わせ、よりターゲット像を具体化するのが目的です。
現場と意見交換を重ねることで見えてきた「キャリアに悩む」と「背中を押してほしい」というキーワードをもとに、ブランドパートナー“みきちゃん”像を構築。
「こんな子いるいる!」と思わず頷いてしまうような、身近な29歳独身女性像が浮かび上がってきました。
二ーズ≒シーズ
ターゲットの求めていること(ニーズ)、サービスが提供できること(シーズ)が明確になったら、ニーズとシーズをすり合わせ、2つの要素にズレがないか確認します。
ブランディングの成果
①キャッチコピー
サービスに関わるメンバー全員でブランディングの結果を共有しアンケートを実施。
サービスが抱える課題、提供できる価値、特筆すべき特徴が集約されています。
②サービス概要文
こちらはアンケートではなく、ブランディングチーム内で案を出し、議論を重ねて作成。
約200文字という限られたスペースで、最大限の情報をユーザーに届けます。
③ロゴ
- 一歩踏み出したいターゲットが飛び立てるように
- 「翼」をサロンに見立て、サロンの存在で見えなかった景色が見えるように
この2つのブランドコンセプトに添って作成しました。
④オウンドメディア『CANARY』
ターゲットにより訴求するための媒体として、オンラインサロンのサイトとは別にオウンドメディアを展開。
ブランドパートナーである“みきちゃん”に寄り添ったカラーリングでサイトをデザイン。
ロゴやキャラクターも“みきちゃん”が好みそうなゆるさを追究し、表紙カバーは“みきちゃん”が読みそうな雑誌をイメージしました。
まとめ
こうしてオンラインサロンのブランドが構築されました。
今回の記事でご紹介したのはブランディングの一部にすぎず、これらに加えて外部広告や各種販促活動などを経て流入数が増加。
リリース当初30弱だったサロンは現在では500以上になり、会員数も10,000人(2016年度末時点)から27,000人と、日々会員数を伸ばしています。
根拠を持ってブランディングすることで、サービスは引き続き拡大中です!
次回のデザインコンセプト勉強会のテーマは「バナーにまつわるLT大会」。
またしっかりとレポートをお届けする予定ですので、お楽しみに!