2019年3月に発足した地方創生事業部。DMM.comには50を超える事業があり、これらを派生させる形で新規事業を生み出しています。今後は、事業の創出にとどまらず、地域に根付くイノベーション・エコシステムの形成など、持続的に事業が生まれ続ける仕組みを全国各地にもたらしていく予定です。
事業家集団・DMM.comならではの地方創生事業について、米泉治さん、古家英子さん、片山尊さんにお話を伺いました。
新しい未来をつくる、DMM流地方創生
DMM.comは「なんでもやります」と経営理念に掲げていますが、地方創生も行なっているんですね。事業内容について、詳しく教えてください。
米泉:地方自治体や官公庁とタッグを組み、課題解決に向け、政策に沿った新規事業生み出すことが主な業務です。DMM.comには50を超える事業があり、それらを派生させる形で新規事業を生み出しています。
その一例が、DMM.make AKIBA(以下、AKIBA)と地方自治体の連携。多くの自治体の方々が「イノベーションを生み出すヒント」を求めて、AKIBAへ視察にいらっしゃいます。 AKIBAは本来、“モノづくりのためのコワーキングスペース”。しかし現在、地方創生におけるイノベーションの拠点としても位置づけており、講座やセミナー、イベントを積極的に開催しているんです。
古家:イベントも堅苦しいものだけでなく、たとえば“IoT女子会”と題し、「テクノロジーになんとなく興味がある」女性をターゲットとした、カジュアルなものも開催しています。一般的に、IoT関連の情報に触れる機会は、男性よりも女性の方が圧倒的に少ない。そこで、“アロマ × テクノロジー”や、"旅 × テクノロジー"など、女性が気軽にIoTについて話すことができる機会を作り出しています。
片山:まだ形になっているわけではありませんが、DMM.comの強みを活かした事業も準備中です。たとえば、英会話やプログラミングスクールに代表される教育関連事業や、衰退している地域の伝統芸能をプロデュースし再生させる観光振興。弊社以外の民間企業も巻き込みながら、未来の起業家を輩出する動きも始めています。
数多くの事業を持つDMM.comならではのスタイルで、地方創生にあたっているんですね。みなさんはそれぞれ、どのような業務に従事されているのでしょうか?
米泉:私は、事業開発担当として事業をスケールさせていく戦略を立てることが役割です。ただ、現場に足を運び、自治体の方と一緒に一つの案件を考える機会も少なくありません。
片山:僕はセールスがメイン業務ですが、地方自治体のコンサルティングをしたり、プランナーとしての役割も担っています。役割が限定されておらず、企画提案から実行まで、幅広く従事しています。
古家:私は、セールスの業務に加え、社外に「地方創生事業部」の活動をよく知ってもらう広報のような役割も担当しています。
私たちのミッションは単なるプロジェクトづくりではなく、その土地に根付き、中長期的な繁栄をもたらす「事業」を生み出すことです。DMMは、どういったことができる会社なのか沢山の方に知ってもらうためにも、さまざまなアプローチを仕掛けています。
三者三様、DMM.comを選んだ理由
みなさんは、DMM.comの地方創生事業部にジョインするまでに、どのようなキャリアを歩まれてこられたのでしょうか?
米泉:入社以前はグルメサイトを運営する仕事に従事していました。県産品のPR支援などを担当していて、当時から地方自治体とのお仕事には楽しさを感じていたんです。しかし、食だけに限定された領域で地方を盛り上げていくことに難しさを感じ、DMM.comへと転職しています。
DMM.comは毛色の違う事業をいくつも抱えている、文字通り“カオス”な会社です。いい意味で「何をしているのかよく分からない会社」に感じ、興味を持ちました。
片山:僕は米泉と違い、こだわりがあったわけではありません。実は、消去法なんです。転職活動をしていて、自分に合わないと感じた企業を選択肢からなくしていった結果、DMM.comに入社することを決めました。当時は特に「やりたい仕事」がなかったんです。
DMM.comに入社してからは、5つほど事業部を転々としてきました。どれも、新規事業の立ち上げにアサインされています。地方創生事業部に異動する際も、「立ち上げの経験が豊富だから」という理由で声をかけてもらいました。
ただ今回に限っては、いつもと訳が違います。「この仕事がやりたい!」と、複数の選択肢から自分の意思で選びました。というのも、地方創生事業部の仕事は、事業部内で完結せず全社を巻き込むスタイルだったからです。事業を数多くもつDMM.comならではの仕事だと感じ、異動を決めました。
古家:私は大手事業会社で営業をしていました。もともと人と話すことが好きなので、営業という職種は楽しかったのですが、自分のバックグラウンドや興味とはかけ離れた業界に携わっていたので、よりルーツに近い仕事がしたいと思っていました。
私の実家は台東区で革問屋を営んでいます。台東区は職人の町で、小さい頃から職人さんと接することが当たり前でした。しかし、若者が街から出ていってしまい、産業は衰退していく——そんな光景を、幼い頃から目の当たりにしていたのです。学生時代は経済学部で地域再生について学んでいました。「何か自分にできることはないか」と考えていたんです。
ある日、WantedlyでDMM地方創生事業部の記事を読み、「自分のやりたいは、地方創生だったのではないか」「地方創生を仕事にすれば、社会に価値を提供できるのではないか」と熱い想いが込み上げました。そして実際に事業の話を聞きに行ったことがきっかけです。
今の仕事には、原体験が紐づいているんですね。地方創生事業を行なっている会社は他にもありますが、DMM.comを選んだのはなぜですか?
古家:他のどの会社よりも、地域の未来を考えていたからです。私が思う地方創生ビジネスのよくある失敗例は、「事業者の利益第一主義」に陥ってしまうパターン。しかし、DMM.comの地方創生事業は、事業を中長期的に根付かせ、地域の経済を回すことを最優先に置いていました。私が理想とする、本当の意味での「社会貢献」ができる会社であると確信したんです。
地方創生も「なんでもやる」から面白い
実際に働いてみたからこそ分かる、地方創生事業部の魅力についてもお伺いさせてください。
米泉:「数多くの打ち手がある」ことですね。地方創生事業を展開する企業は、世の中に何社もあります。しかし私たちは、そのどれにも当てはまりません。DMM.comの経営理念にもあるように「なんでもやる」。
取引先にも「DMM.comなら、何か新しいことをやってくれる」と期待していただけています。実際、よくある地方創生へのアプローチとは異なる手法で、事業を立ち上げることができている。その面白さは、他社にない魅力だと思います。
片山:米泉がいうように、これまでにない事業を地方につくっていけるのは、やはりDMM.comの強みです。ただ、あくまでその地域らしさや、ニーズも大事にしたい。その目的のためなら、DMM.comの根幹であるテクノロジーを駆使したアプローチを捨て、アナログで事業をつくることもします。そうした泥臭さも、DMM.comの面白さです。
古家:事業部単位ではなく、全社単位で仕事ができることは地方創生事業部ならではです。片山が「全社を巻き込むスタイル」と言っていたように、他事業部の方とコラボレーションしながら新しい事業をつくることができます。
またDMM.comは事業部が多いこともあり、起業家マインドを持った人材が多数所属しています。彼らと事業部や役職の垣根を超えて連携し、地域に価値を生んでいくスタイルは、とても刺激にあふれています。
“写真に映らない魅力”を全国各地へ
独自の魅力を持つ地方創生事業部のお仕事は、今後ますます面白くなっていきそうですね。先々の展望についても、お伺いさせてください。
米泉:先ほど「数多くの打ち手がある」と申し上げましたが、まだまだ事業は始まったばかりで、実績を出せていないのが現状です。スピーディーに「DMMらしい事業」を全国各地に生み出していきたいと思っています。
片山:現在動き出している既存事業を成功させることはもちろん、今後は事業の幅を広げていく予定です。最近進出している、農業や商業といった領域も、より一層拡大していきたいと思っています。
また「地元の若者を巻き込む」ことも一つのテーマなので、地方の大学や高校と提携し、地域一丸となってビジネスを立ち上げいきたいと思っています。
描く未来図を実現するにあたり、求めている人物像があればお伺いさせてください。
古家:現在在籍しているメンバーは、「地方創生」にパッションを持って向き合っています。年次や役職に関係なく、一つの目的に向かって力を合わせられるのが私たちの文化です。「地方創生」に何かしら想いや興味をもっていることはすごく重要だと思います。
写真には映らない全国各地の魅力を発掘し、それを全国に発信するアグレッシブさがあれば、きっと活躍できる。経歴や能力云々ではなく、同じ想いを持って働ける方の参画をお待ちしています。
構成:オバラ ミツフミ 写真:岡島たくみ