DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。
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地上波では流せないコント番組『インシデンツ』が大ヒット!アニメ5,000作品、エンタメ約16万本を揃える、最強チームの裏話

DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。

2022年12月1日にローンチした『DMM TV』は、ローンチ後2週間で会員数30万人を突破。 アニメは5,000作品(2023年2月21日時点)を揃え、1月クール新作アニメカバー率100%(他社独占除く)、旧作も業界最大級の品揃えです。 2.5次元の舞台やミュージカルは業界第1位のコンテンツ数(自社調べ)。舞台やミュージカル、刀剣乱舞のライブ配信などのDMM TV独占のコンテンツもあり、“2.5次元を見るならDMM TV”という認知が広がっています。 また、1発目のオリジナルコンテンツ『インシデンツ』が大ヒット中です。メガヒットを生むために、1億円のコンテンツを10本制作するのではなく、10億円のコンテンツを1本制作する考え方を採用。特定のコンテンツに予算を集中投資し、質の高い作品を生む戦略が成功しています。 動画配信プラットフォームとして最後発ながらも、DMMの強みを活かしユーザーからも業界からも高評価を得ているDMM TVのコンテンツ部責任者 山本と、オリジナルコンテンツ制作責任者 久保田に話を聞きました。

  • 山本弘毅合同会社DMM.com 執行役員/デジタルコンテンツ本部 本部長、DMMプレミアム本部 コンテンツ部 責任者

    2007年DMM.comに動画配信事業部の営業として入社。動画のみならず電子書籍や通販、レンタルなどデジタルコンテンツやECに関わる業務に従事。2010年度より動画配信事業部長を務める。2015年7月にDMM.com執行役員に就任。現在、DMM TVの制作・調達・編成チームを統括。

  • 久保田哲史コンテンツ部オリジナル制作責任者

    1995年、フジテレビへ入社。ドラマ部門にて『ムコ殿』『人にやさしく』『医龍』などの制作に携わった後、海外事業を担当。2019年、Amazon Japan Prime Videoに転職。スタジオ責任者として日本のコンテンツ制作に関わる。2022年、DMM TV立ち上げを機にDMM.comへ入社。オリジナルコンテンツの制作責任者に従事。

“ハイリスク、ハイクオリティ”を実現する制作陣の努力

DMM TVローンチから約2ヶ月が経ちました。現状の手ごたえをどのように感じていますか?

山本:定量的には、リリース後2週間で会員数30万人という数字は悪くないと感じています。しかし、2年で会員数200万人という非常に高い目標値を設定しているので、もっと増やしていく必要があります。

定性的には、アニメや2.5次元のクラスターへ認知度が上がってきているのはもちろん、権利元からの反響も好調であると捉えています。現在、アニメコンテンツは約5,000作品を揃えており、業界3位の作品数です(2023年2月時点、自社調べ)。「リリース当初からこんなに調達したんだ!」と業界の方たちにもインパクトがあり、今後のコンテンツ調達もお願いしやすい環境になっています。

久保田DMM TV 1発目のオリジナルコンテンツ『インシデンツ』は良い手ごたえを感じています。

そもそも最初にDMM TVで目指していたのは「アニメといえばDMM TV」というイメージを獲得すること。アニメはユーザー数が多いので、初期に攻めていくジャンルとしては正解だと思います。一方、アニメは非独占物。ほかのプラットフォームも力を入れているコンテンツなので、最後発であるDMM TVがアニメだけで差別化を図るのは難しい。なので、オリジナルコンテンツはDMM TVのブランディングに繋がると考えました。

『インシデンツ』は地上波では放送できない過激なネタを扱うコント番組です。一見アニメユーザーと遠いジャンルですが、ある程度の予算をかけてきっちりつくれば視聴者は獲得できるだろうという“ハイリスク、ハイクオリティ”の考えのもと制作しました。配信前に不安はありましたが、ユーザーからの反響も大きく「いいものさえつくればユーザーはついてくる」と手応えを感じています。

山本:コンテンツ調達チームは1、4、7、10月という各クールごとの新作アニメをしっかり抑えていく。新作アニメの供給が少ない2・3月、5・6月といったタイミングはプロモーションが打ちづらいため、オリジナルコンテンツを配信していく。この2軸で「DMM TVは常におもしろいコンテンツを発信している」と思ってもらえるような座組にしています。そういう意味でも、久保田率いるオリジナル制作チームとコンテンツ調達チームは二人三脚で歩みを進めています。

そもそもなぜ、DMM TVはアニメや2.5次元といったカルチャージャンルに特化したコンテンツを配信しているのでしょうか。

山本:久保田が言ったようにDMM TVは動画配信プラットフォームとして最後発。最初からいきなり全方位のコンテンツを集めることは非常に難しいです。100の力があったとして10のジャンルに10ずつ力を使っても何の特色もないサービスになってしまいます。しかし、アニメや2.5次元といったカルチャージャンルに絞り、そこに100の力を使えば一つの特色が生まれる。そこで「いろんなプラットフォームに行かなくてもアニメだったらDMM TVで全部見られます」というコンセプトを打ち立てました。

2.5次元作品は動画配信プラットフォームのなかで、第1位のコンテンツ数

約5,000作品ものアニメコンテンツを調達するのは、相当大変だったのではないでしょうか。

山本:ローンチされていないサービスの説明をしながら、コンテンツ1タイトルずつ交渉していくので相当大変でした。サービスをご理解いただくことや金額面の交渉は大変です。過去の作品ほど、映像素材や画像素材の権利をどの会社が持っているのか探していただく必要もありました。権利元の方たちにもご迷惑をかけましたし、調達メンバーや運営メンバーへの負荷がものすごく高かったと思います。みなさんのおかげで、1月クール新作アニメは他社独占以外はすべて、旧作もほとんど揃え、何とか5,000作品も揃えられたという感じですね。

コンテンツ調達をする上で、山本さんが特にこだわったこと、意識したことは?

山本:「いろんなプラットフォームに行かなくてもアニメだったらDMM TVで全部見られます」をベースに置きつつ、DMMの既存ユーザーへもしっかりリーチできるようにコンテンツを調達しました。

例えば、DMM TVサービスを開始する以前にはサブスクではなくTVODで動画視聴ができる『DMM動画』という既存サービスがありました。『DMM動画』では2.5次元の公演を数多く取り扱ってきたことから、DMM TVでも既存の2.5次元ユーザーとしっかり向き合うために圧倒的な2.5次元作品数を揃えています。現在のサブスク動画配信プラットフォームの中で、2.5次元作品は1番のコンテンツ数です。中には舞台やミュージカル、刀剣乱舞のライブ配信のようにDMM TV独占のコンテンツもあるため、これまで利用してくださったユーザーのみなさんにも、DMM TVへきっちり残ってもらうことを意識してコンテンツを調達しています。

久保田:2.5次元コンテンツはすごく上手くいっている印象があります。『2.5次元を見るならDMM TV』という認知がかなり育っていると思っていて。それは舞台やミュージカルの『刀剣乱舞』を筆頭に、DMMが2.5次元に対して予算も時間も投下してきた歴史が今に繋がっている。それをちゃんとユーザーが理解してくれているからなので、同じようにアニメユーザーへの認知も育てていけたらなと。

1億円のコンテンツを10本制作するのではなく、10億円のコンテンツを1本制作する

オリジナルコンテンツはどんなことを意識して制作を進行しているのでしょうか。

久保田:“ブロックバスター戦略”というメガヒットを生む戦略があって、僕はその信者なんですけど。10億円あったら1億円のコンテンツを10本制作するのではなく、10億円のコンテンツを1本制作するという。できるだけいいものをつくることがベースにあります。その中で、DMM TVが求めるコンテンツとユーザーが満足するコンテンツの両方を補うコンテンツを制作しようと考えています。

また、DMMのこれまでの動画事業の歴史やアニメコンテンツが揃っていることを考えると、DMM TVのメインユーザーは20〜40代の男性になるだろうと。その人たちに向けて、DMM TVでしか見られないコンテンツを中心に制作した方がいい。

そこで1発目に地上波では見ることのできないヤンチャで質の高いコント番組『インシデンツ』を制作したんです。ほかにもマンガ紹介番組『ウチコマ』や声優・アニソンアーティストのトーク&ライブ番組『A-LIFE』といった予算をかけ、かつアニメユーザーに刺さるようなコンテンツを制作しています。「同じアニメがいろんな場所で配信されているけど、DMM TVで見ようかな」と背中を後押しできるようなコンテンツをつくっていかなければと思っています。なので、山本さんに常に「予算ちょうだい」と言っています(笑)。

山本:あはは(笑)。

オリジナルコンテンツ制作で特に苦労されるのは、やはり予算との兼ね合いですか?

久保田:予算はもちろんですが、それ以上にベンダーの信用を得ることですね。コンテンツ調達チームであればアニメをつくっている方たち、オリジナルコンテンツ制作チームであればキャストや制作会社の方たちに対して、「本気でエンタメを盛り上げていくんだ」という姿勢や考え方を理解してもらうことが一番大切です。

サービスがローンチして結果が出るまでは、信用が0の状態。いくら僕自身がこれまでに業界で関係を築いてきたとしても、DMM TVではまだ何も実績を残せていない。そんな中、ベンダーの方たちから「今、DMM TVに関わることで何のメリットがあるの?」と思われてしまうのは仕方がありません。

山本:コンテンツ制作はそこのハードルがすごく高いですからね。最初から「ユーザー数、数百万人のプラットフォームです」と言えたら、どれだけ交渉がしやすいか……。

久保田:コンテンツ調達は数を揃えないといけないし、オリジナルコンテンツ制作は一つひとつオーダーメイドで素材を揃えないといけない。お互いに苦労の仕方が違うので、そこはコミュニケーションを取って理解してもらいながら進めていましたね。

DMMの強みを活かしながら、競合ができないことをする

コンテンツにおいて、現時点で感じている課題はありますか?

久保田:世間にこれだけアニメが揃っているのがまだ伝わり切れていないということ。アニメユーザーの視聴習慣を変えるのはすごく大変です。まだまだ多くのユーザーは別の動画配信プラットフォームを利用していると思います。そこからユーザーをひっくり返していくのは至難の業ですよね。

山本:そういう意味でも何をキッカケにDMM TVを知っていただくか、興味を持っていただくかが課題だと思います。1度利用していただいた方には、コンテンツ量、オリジナルの質、価格帯のコストパフォーマンス面の良さで満足いただけているとは思います。実際に1人当たりの視聴時間が長く、長ければ長いほど退会率は下がっていきますから。とはいえ、新規ユーザーを獲得しないことには意味がないので、そこは現時点での大きな課題ですね。

「2年でDMM TVの会員数200万人」という目標を掲げていますが、そんな中で新規ユーザーを獲得するために考えている施策を教えてください。

山本:まずはアニメが強い動画配信プラットフォームとしてDMM TVを確立させつつ、次にどのジャンルを攻めていくかを話し合っているところです。視聴動向を見ていると、やはりアニメの視聴時間が長い傾向があります。また、年齢層高めの男性ユーザーが多いので、おそらくDMMの既存ユーザーであった方たちの割合が多いのだと思います。そんな既存ユーザーにコンテンツを当てるのはもちろん、1番重要なのはDMMに今までいなかったユーザーを広げていくことです。

とはいえ、今からアニメとは全く異なるジャンルへ広げても、DMM TVの特色が定着しづらくなるため、バランスを見ながらコンテンツ調達を目指していこうと考えています。

久保田:アニメ、2.5次元のユーザーと親和性の高いところから新規ユーザーを獲得できるような作品をつくっていこうと思います。成功例のあるバラエティやアニメ好きの男性ユーザーが楽しめる熱血マンガのようなコンテンツを担保する。また、ドラマの方がパイは広いので、マンガ原作にこだわった質の高いドラマを制作していく予定です。

海外の大手動画配信プラットフォームにはできないこと、地上波にはできないこと、「DMM TVらしさ」を目指してコンテンツを制作していくので、長い目で見てもらいたいと思っています。

 

※渋谷をジャックし話題となった『DMM TV』のロゴを制作したクリエーターにインタビューした記事も合わせてご覧ください。
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