ローンチ数ヶ月前に危機的状況が発覚し、業務改善のプロが参画
まずはじめに、みなさんがDMMに入社した経緯からお聞かせいただけますか?
長崎:今の僕の上長であるCOO室の長南(佑輔)さんと出会ったこと、売上1兆円のポテンシャルを持っている会社だと感じたことが大きかったです。また、面接の時に「僕はプロジェクトを通して業務改善できる人を育て、育てた人が次世代の業務改善できる人を育てる。そうやって業務改善が当たり前になる仕組みをDMMなら作れそうだし、やりたい」と言ったら、「いいんじゃない?」と言ってもらえて。ジョインしてからは今ここにいる澤田と栗田を業務改善できる人間に育てています。
田中:僕は「ロックでカオスな会社」を探していたら、DMMを紹介してもらったのがキッカケです(笑)。話を聞くと枠にとらわれることなく、いろいろな経験ができそうだなと感じ、入社を決めました。まだ入社して1年も経っていませんが、想像以上に濃密な時間を過ごしています。様々な経歴を持つ優秀な方たちばかりで、刺激を受けながら日々を過ごしています。
澤田:東京で就活しつつ地元の金沢でも楽しく働けるところがないかなと探していました。そんな時合同説明会に立ち寄ったら「DMM.comは金沢発祥の会社で、金沢にも事業所がある」と知りまして。様々な事業をやっていると知り、入社後にいろいろな経験をして自分のキャリアの幅を広げられそうだと思い、入社を決めました。
栗田:「DMM」という名前を知っていたこと、サービスの要求管理や案件進行に携われるディレクター職の募集があり、興味が湧いたことが大きな理由です。また、僕自身『仮面ライダー』が大好きなのですが、「DMMに入社すれば『仮面ライダー』のようなコンテンツを作るチャンスがあるかもしれない」と漠然と感じたことも大きいです(笑)。
そんなみなさんが関わる、DMMプレミアム/TVの運営チームとはどのようなことをしているのでしょうか?
長崎:ビジネス側がやりたいことを実現するチームです。DMM TVにおいては、プラットフォームにコンテンツを配信したり、キービジュアルの画像やエピソードの文字など配信時の見せ方を調整したり、クライアント側の求めるデータを収集したり、作業を円滑に実行していくためのプロセスも考えます。そのプロセスをきちんとワークさせることが、1番の役割だと捉えています。
©projectティンガーラ
運営チームはDMM TVにおける「パリピ孔明」や「白い砂のアクアトープ」など、
数多くの作品のキービジュアル画像やエピソードの文字の調整などを行っている
経歴も入社経緯もバラバラの4名が運営チームとして関わるようになった理由についても教えてください。
長崎:もともと僕と田中さんはCOO室という経営企画的な組織で働いています。そして、澤田と栗田はDMMプレミアムの中のプロダクトであるDMM TVの運営にずっと携わっていた、という前提があります。
そんな中、22年12月ローンチ、12月末にはアニメ約4,600作品、全映像作品12万本を見込んでいたものの、22年9月中旬の時点で間に合わない危機的状況が発覚。その状況を立て直すべく、9月末に僕と田中さんを含めた複数名が運営チームにジョイン。まずメンバーにヒアリングしたり、日常業務の流れを書き出しました。散らばっていた情報をまとめ、現状を整理しながら、ムダをなくし誰もが業務を行いやすいように改善しました。
田中:運営チームが業務をしていなかったわけでは決してないのですが、業務のプロセス化が上手くできていなかったんですよね。ローンチまでの残り時間と照らし合わせながら、連携して進めていきました。
各工程をより詳細にし、上記のプロセスで管理を行うようにすることで、状況の可視化と課題の明確化が実現した
僕たちは“運営”ではなく、サービスをつくっている
DMMプレミアム/TV運営業務で特に苦労したことは?
栗田:ローンチの12月1日までにアニメ3,500作品、2022年内までにアニメ4,600作品を公開するという目標を掲げていたので、それを達成することにとても苦労しました。必要な情報を一元管理しようと思っても漏れている情報があったりして。
澤田:プロジェクトの初期段階で情報を可視化する意識がなかったのが原因の一つで、そこはすごく反省した点です。
栗田:結果的にはCOO室の尽力もあり、目標を上回ることができました。納品から公開まで「どのプロセスで」「何が原因で」公開できていないか、1作品ずつ目視で全件確認を行いました。泥臭い作業でしたが、そうやって整理したことで目標を達成することができました。
運営企画グループ側はどんな苦労がありましたか?
田中:目標達成までの残り時間が何よりも少なかったところ。でも、全員目標に向かって同じ意識を持ち、連携しながら動けたので、とても真剣に、集中して業務が遂行できたのではないかと感じています。
長崎:“人の気持ちを変えること”が1番大変でした。自分なりに一生懸命頑張っていた中、突然「危機的状況だから、今のやり方を変えなきゃダメだよ」と伝えるのは、正直気の重い役割でした。ところが「今から立て直すために一緒にやってくれる人は一緒に頑張ってほしい」と伝えたところ、誰一人後ろ向きになることなく一緒に頑張ってくれて。
「君たちは運営をやっているのではなく、サービスをつくっているんだから、プライドを持って仕事してね」とみんなに言い続けていたんです。そこでみんなの気持ちは大きく変わったように感じます。
「こんなに仕事って楽しいんだ」と心から感じる経験
気持ちや意識の変化が、日々の仕事にどのような影響をもたらしましたか?
栗田:長崎さんに「君たちがやっていることはサービスをつくることであり、ユーザーに素晴らしい体験を提供すること。その視点を忘れずにね」と言われて。その言葉のおかげで、DMM TVに配信する作品のサムネイルを設定する作業1つに対しても、常にユーザー視点で考えるようになりました。
田中:話し方も変わりましたよね。最初は「自分の領域はここまで」という話し方から、自分事として捉え「それも自分たちでやります」という話し方になった。
長崎:こういうマインドセットの人が育ってくれたのはすごく嬉しいです。
おそらく裁量権をみんなに渡したのは大きいと思います。構造的に六本木オフィスがビジネス、金沢事業所が運営と、勤務地によって職域が分けられる傾向があった。本来、サービスと運営は対等でなければいけないし、同じ目線で物事を考えられなければ長期的に見たときに上手く回らなくなってしまうので。
「君はこれがミッションだよ」と大きな塊の中で業務を遂行してもらう。それが楽しさややりがいに繋がったのだと感じています。裁量を渡すことは恐怖でもありました。でも渡してフィードバックしてを繰り返していくと、どんどんできることが増えて、気づいたら成長しているんですよ。もちろんメンバーが優秀だったのはありますけどね。メンバーから「こんなに仕事って楽しいんですね」と言ってもらえたのも良かったなと思っています。
全員主役。サービスのど真ん中で仕事ができる
DMMプレミアム/TVの業務を通して気づいた、「DMMで働くことのおもしろさ」を教えてください。
長崎:いろんなチャンスを考えながらサービスをつくれることが、DMMで働くおもしろさだと思います。DMMではビジネスサイドと運営サイドが話し合って「これをしたいなら、こういうプロセスをつくっていこう」と一緒に考えて、実践できます。
田中:大きなサービスをつくる時って時間がかかったり、他社との連携が必要になったりするんですよね。ところがDMMでは自社でほぼすべて完結できるんですよ。プロセス設計がしやすいし、スピード感を持ってサービスが作れる。
また、どのポジションでもサービスのど真ん中で仕事ができる面白さを感じられる。それがDMMで働くことの魅力だと思います。
澤田:スピード感と裁量があるので、大変さはありますが、「自分には何ができるのだろう」と考えるとワクワクするんですよね。ワクワクがあるから、モチベーションの高い状態で仕事ができていると感じています。
ビジネスアナリストを育成し、世界一の運営体制を目指す
最後に、運営チームが考える、DMMプレミアム/TVの目指す先についてお聞かせください。
長崎:まずは日本一を取りに行く。そのためには生産性を高める必要があり、世界と戦っても勝てる運営体制を整える必要があると感じています。それが終わったら次は世界一を取りに行きたいです。
動画配信プラットフォームサービスの中でも、DMM TVは最後発です。機能やコンテンツなどはまだ改善・拡充していく余地がありますが、唯一“働く人”は勝っている。それは絶対に負けない。仮に今負けていたとしても明日には勝ちます(笑)。
一同:あはは(笑)。
世界一、世界と同等の運営体制を整えていく上で、現時点で考える施策はありますか?
長崎:海外企業には、ビジネスアナリストという職種があります。「こういうビジネスをやりたい」となった時に、ヒアリングをしながら「これをやるなら、これくらいの工数と人員が必要で、作業するメンバーの内訳は正社員が2割、アルバイトが8割でいけそう」と考え、オペレーション側やシステム側に橋渡しをする業務の建築士みたいな人です。そういう人がこれから必要になると考えていて、栗田と澤田にはそれができるようになってもらおうと絶賛しごいているところです(笑)。
DMMプレミアムを通じたDMMのプラットフォーム全体として、2年後に掲げている目標の売上があるので、そこまでに15名は育てたいなと考えています。そこに対して僕らCOO室でも、どういうカリキュラムでトレーニングして、どう評価をするかは考えています。
ビジネスアナリストが増えれば、ほかのサービスにも良い影響がもたらされそうですね。
長崎:ビジネスアナリストが増えれば、ビジネス側に100個のビジネスインパクトのある施策があったら100個すべてできる。運営チームが全員そうなれたら最強ですよね。ビジネスアナリストに成長したメンバーをほかのプロジェクトに送り込みます(笑)。そうするとそのプロジェクトの成績は上がるだろうし、気づいたら「DMM、一兆円じゃん」となると思うので。メンバーのお給料も上がりますしね。そんな未来を考えると楽しくて楽しくて仕方ないです。