はじめに
はじめまして。1ヶ月ほどCTO室でインターンさせていただいた加納英樹(かのうひでき)と申します。京都大学の修士1年で情報セキュリティ・暗号理論の研究をしております。高専出身で、機械学習やGPGPU、ゲーム、組み込み、Web、Androidなど、面白そうなことであれば何でもチャレンジしてきました。プログラミングを本格的に始めて今年で8年目になります。
今回のインターンは、最近主流となってきた逆求人経由でDMMの方とお話させていただき、エントリーフォームより応募しました。CTO室の野秋さん(後にメンターとなる)からOKをいただき、晴れてDMMインターン1期生になることができました。野秋さんは髪の毛を緑色や赤色に染めたり、Macを改造してコーヒーマシンを作るなど、とてもユニークな方でした。
スマートコントラクトで不労所得!?
今回のインターンでは、スマートコントラクトで不労所得を得るシステム「Passive Income」の企画からテストリリースまでを行いました。「Passive Income」とは直訳すると「不労所得」という意味で、ブロックチェーン・スマートコントラクト技術を用いて不労所得を得ようとするシステムを指します。ユーザは定点カメラと配信デバイスを設置するだけで、動画購入希望者から代金を受け取ることができます。
システム構成図
誰しも一度は不労所得で5000兆円欲しいと思ったことはあると思います。なので不労所得の必要性については省かせていただきますが、ここでは別の角度から踏み込み、不労所得の意義について考えてみたいと思います。
不労所得、つまり働かずに収入を得るなど言語道断だ、働くのが当前だと仰る方もいらっしゃいます。しかし、本当に不労所得は悪いことなのでしょうか? 取引の原則から考えてみると、人々は価値があるものに対して金銭を支払います。労働の場合は、働くことにより価値を提供し、その見返りとして金銭を授受しているわけです。もし仮に、あなたが働かずして価値を提供することができるのなら、それは悪いことではないですよね? 価値の提供方法が労働でなくなっただけの話なので。
では、働かずして価値を提供するためにはどうしたら良いのでしょうか。一つには、IoTがそこから無料で得られる情報を販売する方法が考えられます。例えば、置くだけでデータの販売と代金の受け取りが行われるデバイス。販売できるものはデータ化できるのであればなんでもいいのです。例えば動画や写真でもいいですし、万が一UFOが飛んでいる決定的瞬間が撮れたとあれば、あなたはその希少価値の提供者になれるわけです。
一度ここでまとめます。不労所得とは、働かずして価値を提供することと、他の誰かがその価値を認め、対価を支払うことで成立します。価値の提供は先ほど述べたようにおそらくIoTデバイスでできるでしょう。しかし、対価の支払いはどのように行うのでしょうか。決済業者と契約し、Webサーバを借りてプラットフォームでも立てますか? それでは不労所得ではありません。そこでスマートコントラクトが登場します。スマートコントラクト×IoTで、不労所得、つまり働かずして価値を提供することと、対価の支払いを実現します。
スマートコントラクトとは、簡単に言えば契約の自動化です。皆さんがよく使っている自動販売機もスマートコントラクトの一つです。自動販売機の場合は、お金を支払ったら選択された飲み物が出てくるプログラムがあらかじめ設定されています。このようなある条件Xの下でAとBが売買を行う仕組みがスマートコントラクトです。自動販売機はオフラインですが、現在のスマートコントラクトはブロックチェーン上に書き込まれ、支払いも仮想通貨によって行うことができます。現在不労所得の課題となっている決済と提供について解決できそうですよね?
自動販売機の例では機械対人間の話でしたが、これが機械対機械であっても同じことが成り立ちます。とあるIoT機器Aが機器Bの配信情報の価値を認め、購入することだってあり得ます。スマートコントラクトなら、IoT機器同士の売買も実現できます。
動画配信ホストインターフェース
今回の動画配信ホストインターフェースは、Webの動画ECサイトをAmazon EC2上に設置しました。現在はWebサーバが中央集権的な役割を持っていますが、将来的には、Webサイトや人間が介在することなく、IoT機器のスケールに合わせて、サービスがスマートコントラクトのインターフェースを持ち、機器やAIが人間を遥かに上回る回数のサービス利用を行うことで、経済が人類の限界を超えて発展することに期待しています。
なぜ、不労所得なのか
今回、なぜ「不労所得」を軸にサービスを設計したかについて説明したいと思います。メンターの野秋さんは、「よくわからないけど、仮想通貨を持っていてマイニングをすれば楽に稼げるらしい」という動機が今まで仮想通貨にも技術にも興味のなかった人に広がり、仮想通貨ネットワークをここまで大きくしたことに感銘を受けたそうです。誰もが利用できるIoT機器ならば、世の中にあればあるだけ世の中は便利になります。そのネットワークを広げるインセンティブとして、「不労所得」というのはある意味健全なアプローチであると言えるでしょう。
ビアバッシュ
ビアバッシュと呼ばれる社内エンジニアLT会で、登壇・発表しました! 当日は新CTOの登壇もあり、総勢60名超の前で発表する運びとなりました。 今回のインターンシップについてや、製作した「Passive Income」についての発表を行いました。
他の方の発表内容は本当に様々で、レコメンドエンジンの話、マストドンの話、DMMっぽい話など、 どのお話も技術力の高さを感じました。
感想
あっという間の1ヶ月でした。普段使わない頭をフル回転させて設計を考えるのは非常に面白かったです。 1から作り上げる貴重な経験ができて、非常に良かったと思います。
また、参加しているインターン生も非常に優秀で、2週間で成果物を上げてきたり、 既存のコードの解析や理解が早かったりで驚いてます。エンジニア学生と関われて嬉しい反面、自分ももっと勉強しなければと思いました。
自分は『艦これ』からDMMに興味を持ち始め、もう何年目でしょうか。 ようやく内部に潜入することができました。至る所にポスターや漫画、フィギュアが置いてあったり、 独創的なLTがあったり、やっぱり面白い会社でしたよ。
さいごに
このような機会をいただくことができて、大変嬉しく思います。 DMMは非常に面白い会社だと思います。来年以降もインターンは続くと思いますので、 面白いことや楽しいこと、新しいことが好きな学生さんは是非参加してみてください。
インターンに参加できて本当に良かったですし、これからも精進していきたいと思います!