DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。
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DMMは障がい者も“ちゃんと稼ぐ” 部署設立から8年で初の黒字化。

DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。

DMM.com ビジネスクリエーション部(以下「BC部」)です。 BC部は障がい者雇用の専門部署として2015年より障がいがある方のチームを運営し、DMMの事業に貢献しています。 2021年には「The Valuable 500※1」に日本企業50社のうちの1社として選出されたり、2023年6月には「労政時報※2」で障がい者雇用の取り組みが紹介され、社内だけではなく社外の方にも知ってもらえるようになってきています。 BC部はこれまで「人件費と販管費を上回る売上を上げる=黒字化」を達成するため、障がいを持っているスタッフの生産性向上に取り組んできました。 その結果、2022年度には黒字化に成功。今回は黒字化に至るまでの経緯や取り組みについて紹介します。 ※1 世界の有力企業が結束しビジネスにおける障がい者雇用を推進する組織で、海外ではAppleやGoogle等が加盟 ※2 70余年の歴史を重ねた人事・労務全般を網羅した専門情報誌

なぜBC部が黒字化を目指したのか

障がい者雇用において「大企業はSDGsの一環として特例子会社を設けるが、障がい者を戦力化できていない」※3と厚生労働省が指摘しているとおり、障がい者雇用における生産性の向上は大きな課題となっています。

BC部ではこれまで、リモートワークの活用など働きやすい環境づくりに注力しながら、障がい者が会社に貢献できるようになることを目指して、活動してきました。

過去のBC部関連記事(一部抜粋)
リモートワークを活用した障がい者雇用がDMMらしい話
障がい者が「働き続けられる」ための工夫とその成果
生きがいを得た。障がいと仕事に向き合い気づいたこと

しかし、2019年度には売上が初めて前年比を下回り、赤字が目立ちました。

DMMにはDMM.ESSENCEというコーポレートメッセージがあり、その中には『ちゃんと稼ぐこと。』という項目があります。そこで改めて、障がい者が戦力として活躍できる組織体制を作り上げ、黒字化を実現することを目標に掲げることにしました。

※3 2021.8.20 産経ニュース「胡蝶蘭栽培で障害者の経済的自立支援 福祉施設から企業へ広がる」より引用

過去の失敗から学んだ取り組み

ここからは、赤字になってしまった理由と黒字化を実現できた取り組みについて紹介します。

ダブルチェック体制によるジレンマ

赤字が目立っていた2019〜2020年は、受注した業務を確保することに懸命だったため、生産性よりも品質担保を優先していました。品質担保のためにダブルチェック体制を採用した結果、人件費が2倍に。このことが主な原因で、赤字になるという苦汁を飲むことになりました。

障がい者雇用では作業担当者と成果物のチェック担当者を別に設け、ダブルチェック体制を取ることが一般的ですが、ダブルチェックが必要かどうかは業務内容や担当者の成熟度によって異なります。場合によっては、ダブルチェックではなくセルフチェックで業務を完結させるといった判断を行うべきでした。

障がい者の自立自活を目指して

障がい者雇用において収益性を高めるためには、障がいに応じて業務を割り振る・管理するといった配慮だけでなく、習熟度を高め、一人前のプロフェッショナルとして成長してもらえるようサポートする必要があります。

そのため、職務レベルやスキル、年数に応じた成長ステップを示した以下のようなキャリアマップを作成。各自がダブルチェックではなく、セルフチェックで業務を完結できるようにしました。

具体的な課題と対策の例を2つ紹介します。

課題1
一部の障がい特性をもつ方は、曖昧なルールの理解が難しかったり、イレギュラーなケースの判断を間違えやすく、作業効率が悪くなってしまう。

対策1
業務プロセスにおいて、曖昧なルールによって迷いが生じやすい箇所を特定し、明確かつ簡素なルールに変更。これによりミスの要因を減らし、チェックにかかる時間を削減することに成功。

課題2
一部の障がい特性をもつ方は、本来不要な箇所まで念入りに確認してしまい、作業効率が悪くなる。
(例:複数の画像をダウンロードした際、全ての画像に対してファイル破損の有無をチェックしてしまう)

対策2
作業画面をスタッフ間・管理者間で共有。作業者が独自で追加していた、不必要な作業の削減を行った。また、作業者が独自で実施していた効率的なノウハウを共有する機会にもなった。
 

30事業部、グループ会社4社からの業務獲得

今ではDMM内の30事業部、グループ会社4社※4から業務を受託していますが、ここに至るまでには、社内クライアントからの信頼獲得や積極的な社内営業活動を行うことで、業務の幅を広げてきた経緯があります。
※4 2023年8月時点

現在、BC部で受託している業務

2015年の設立当初、BC部はデータ入力やサイトパトロール、簡単な画像加工などの業務のみを受託していました。しかし現在では、総務・人事・法務などのバックオフィス関連の業務や、WEBサイト運営に関わる社内業務に加え、DTP制作、サムネイル制作、バナー制作などのデザイン関連の業務も請け負っています。

業務の幅を広げられた理由としては、以下5つが挙げられます。

1.事業部側がBC部への発注を検討しやすくするため、社内営業用のポータルサイトを構築し、業務種別による単価を公開
2.設立したばかりの事業部には直接営業し、受託できる業務がないか積極的にヒアリング
3.依頼したい業務に関するマニュアルがない場合は、BC部のチームリーダーが手順を確認しマニュアルを作成
4.業務受託後も定期的に事業部とミーティングを実施し、業務効率化の改善提案を行う
5.新たな業務受託も可能な旨を提案し、リピーターを獲得

上記の施策が功を奏し、2022年度は売上人件費率83%、人件費と販管費を上回る売上=黒字化を達成!インセンティブを支給できるまでになり、部内メンバー一同、達成感と共に喜びもひとしおです。

日本一事業に貢献する障がい者雇用の実現を目指して

時代の進化と共に、障がい者に求められる仕事のレベルが上がり、発達障がいや精神障がいを持っている方が本来苦手とすることが多い、イレギュラー発生時の対処方法を身に着ける必要が出てきました。

今後はチームの垣根を超えてBC部全体でノウハウを共有し、各自の専門性を高めていきながら、より柔軟に業務に対応できるようになることを目指しています。

また、AIの導入による業務効率化および、業務の拡大も検討しています。

現在BC部の受託業務は社内からの発注が多くの割合を占めていますが、今後は受注先を社外に広げ業務を拡大し、更なる利益を生み出すことで、障がい者スタッフの給与の底上げに繋がるような支援も行っていきたいと考えています。

BC部は今後も障がい者の成長に繋がる組織運営を行いながら「日本一事業に貢献している障がい者雇用」を目指し、邁進していきたいと思います!

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