DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。
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日本初のAI×英会話に挑む!約2ヶ月でローンチしたDMM英会話 AI

DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。

DMM英会話は、世界120ヵ国・10,000名以上の講師といつでもどこでもマンツーマンでオンライン英会話レッスンができる、業界ナンバー1(*1)のサービスです。2023年8月1日に日本で初めて(*2)ChatGPTを搭載したAI英会話「DMM英会話 AI」をローンチ。その裏側には、時代のトレンドに合わせて柔軟に変化し、挑戦し続ける環境がありました。今回はDMM英会話AIの開発秘話、英会話業界の動向や予測、今後の戦略について聞きました。

  • 坂根 健太郎

    東京都生まれ。青山学院大学・大学院にて経営工学を専攻。大手SIerにてシステムエンジニアとして従事後、不動産投資会社で経営企画・投資業務に携わる。2012年より創業メンバーとして「DMM英会話」立ち上げのため、フィリピンに渡る。以後、フィリピン法人代表を務めながら、経営企画及びDMM英会話の海外ブランド「Engoo」 の立ち上げ等に従事。2021年4月よりDMM英会話代表に就任。

  • Luke McCrohon

    ニュージーランド出身、日本在住。2007年に文部科学省の奨学金を受け日本に来日、東京大学にてコンピューターサイエンスと言語学の博士号取得。2015年にDMM.comに入社、DMM英会話のCTOを務める。現在はCTO兼COOとしてシステムや教材開発チームの統括、経営に携わっている。

AI英会話ならいくらでも失敗できる

DMM英会話 AI」とは、どのようなサービスですか?

坂根AIを使った、無料の英会話サービスです。まず第一弾にリリースしたのは「AI ロールプレイ」。AIがホテルのレセプションやレストランのウエイターなどの役割を担い、ユーザーが音声あるいはテキストを入力をすると、AIが反応してくれます。空港やホテルなど海外旅行時に使うシーンが多いですが、将来的には他分野のロールプレイや機能も増やす予定です。英会話初級〜中級の方々に特に使っていただきたいと思っています。

どうして作ろうと思ったのでしょうか?

坂根:オンライン英会話って、初心者にとって非常に意地悪なサービスだと思いません?(笑)外国人に英語で道を聞かれたら、驚いてたじろいでしまう日本人の方が多いですよね。海外の空港に恐怖心を抱いている方も結構いて、海外旅行のハードルも高い。相手が人間だと、どうしても緊張するんです。一方、AI講師が相手ならいくらでも失敗できるし、返事が遅れても良い。AIを使えば、人間とのコミュニケーションで生じるストレスを解消できます

だから初心者の方には、DMM英会話 AIを最初の一歩にしていただきたいんです。慣れてきたら実際に先生と話して、ハイブリッドで使っていただければと思います。世界各国でAIの英会話アプリは開発されていますが、我々の一番の強みは、リアルの先生を抱えていることですから。
語学学習のゴールは、外国人とコミュニケーションを取り、チャンスや可能性を最大限にすることだと思います。これを達成するにはリアルな先生とコミュニケーションを取れるようになる必要があります。

AIロールプレイは、チャット形式でAIとシーン別の対話を練習することができる

ルーク:DMM英会話 AIから、ワンクリックでリアルの先生と繋がる機能も検討しています。

坂根:例えば、空港の入国審査のシーンをAI英会話で3回学習したら、ボタンが出てくるとします。クリックすると、リアルの先生が入国審査官になりきって出てきたり。AIとリアルの先生、両方楽しめますよね。

ルーク:教材の連携もするつもりです。AI英会話でつまづいた時は「この教材を使って、1レッスンだけ受けてみませんか?」と提案を出すことで、DMM英会話の強みである豊富な教材を生かせます。また教材にもAIを活用する予定です。教科書って書かれている内容が決まっていますよね。でもAIを入れれば、書かれていることが理解できなかった時に追加の質問をしたり、例文を出してくれるように依頼することもできます。

約2ヶ月でローンチ。DMM英会話 AIの開発秘話

「DMM英会話 AI」はどのように開発していったのですか?

ルーク:DMM英会話には教材開発チームがあり、世界中からフルリモートで働いています。今後のプロジェクトについて話すミートアップが年に一度あるのですが、そこで教材の制作や編集にChatGPTを使っているという話から「AIを使ったコンテンツも面白いんじゃない?」という流れになり、2週間後にはプロトタイプができました。7月にほぼ完成、8月1日にローンチ。話が出てから約2ヶ月で仕上げました。
2ヶ月と言うと驚かれますが、一年後にはどの会社でも出てくると思うので、最初のリリースはできるだけ早くしたかったんです。今後はさらに多様な機能を追加していくつもりです。

例えば、AIと興味のある記事について話す機能ですね。DMM英会話は教材が強みで、特に世界中のニュースを英語で読むことができる教材デイリーニュースは1日4記事出しています。半分以上のユーザーがレッスンに使っていますが、先生とは1日に1〜2レッスン受講するユーザーが多いので、今までは4記事のうち1〜2記事しかレッスンに使っていませんでした。2記事は残ってしまい、勿体ないという声もありましたが、AIを使えば残り2記事について追加で話すことができます。

開発する上で苦労したことはありましたか?

ルーク:音声入力にAPIを使ってみたら、ネイティブの英語は認識されたんですが、少し癖のある英語が認識されなくて、難しかったですね。あと、プログラムは100回走らせると100回とも同じ答えが出ますが、AIは確率を使って答えを出しているので、たまに変な答えが出てしまうんです。
だからテストを1回でなく100回したり、99.9%うまくいくか確認するなど、開発スタイルを変える必要がありました。営業チームにもテストしてもらったり、教材チーム、開発チーム、デザインチームで話し合いを重ね、みんなで一緒になって新しいことに挑んでいく、そんな2ヶ月でしたね。

オンライン英会話の今と未来

オンライン英会話の市場について教えてください

坂根:いわゆる英会話教室の市場規模が約1,600億円(*3)なのに対して、オンライン英会話の市場規模は約300億円(*4)程度と言われています。ほとんどシェアを取れていません。未だに既存勢力である語学学校が強いんです。我々の方が安いのに、不思議ですよね。今後の鍵はそこにあると考えています。英会話教室は学習のスケジュールを立て、教材を用意してくれますよね。一方、オンライン英会話は自分で予定を立て、教材を選び勉強をする方々が利用しています。
もっと大きな市場を取っていくためには、「勉強方法は分からないけど、英語はできるようになりたい」という初心者にアプローチをして、彼らの希望を叶えるためのサービスを提供する必要があります。

AIにリプレイスされない唯一無二のサービスを目指して

現状のサービスにおける課題とは?

坂根:サービスを離脱する一番の理由は「忙しいから」。オンライン英会話は予約が必要で、時間がないビジネスパーソンには難しいですよね。AIの先生やAI関係のコンテンツであれば、予約も要らないし、話すのが難しければタイピングでも良い。音声入力だけにしている他社さんが多い中でテキスト入力も可能にしたのは、通勤時間中にも使っていただきたいという思いがあったからです。

ルーク:モチベーションの醸成も課題ですね。 今、英会話業界ではコーチングが流行っています。英語学習って、ユーザーの気合に任せるところが大きいじゃないですか。自分でモチベーションを保って長く取り組める人は、とっくにオンライン英会話を使いこなしています。我々はもっと幅広い人に成功体験を積んでもらいたい。だからAIにもモチベーション管理やフィードバックなど、コーチングができるようにしていくつもりです。

坂根:楽しくないと続かないと思うので、エンターテイメント性も追求していきたいです。先程も言ったように、AIで勉強した後にリアルの先生がでてきて、ユニークなロープレをしたり。現状、DMM英会話 AIは四分の一がリピートしていて、 ベータ版としてはいい数字なんです。継続するにはプロセスで上達が実感できる、 ゲーミフィケーションが肝になります。ルークのチームはゲーマーが多いから、経験を生かして欲しいな(笑)

今後の事業戦略について教えてください

ルーク:英会話だけでなく、英語学習のプラットフォームのような形で広げていきたいですね。 今までリアルの先生とレッスンするだけというサービスからロールプレイ、モチベーション管理やフィードバックを含めたコーチング、更に単語の勉強や発音練習なども、AI を使って広げることができます。

坂根:亀山会長が「AIをどんどん推進しよう。世の中がどう変わるか誰もわからないけど、チャレンジして新しいビジネスを創造しよう」というメッセージを社員向けに出した時に、会長から「DMM英会話が一番、AIにリプレイスされそうだよな」と言われました(笑)。それに対して我々は約2か月というスピードで、AIを活用するサービスを作りました。

よく「AIの先生が出てくると、リアルな先生はそのうちなくなるんですか?」と聞かれるのですが、それは完全に否定しています。プラットフォームの中の一つの重要コンテンツとして継続していきます。DMM英会話 AIは、今より幅広い方々に英会話体験を楽しんでいただき、その後リアルな先生との英会話にも無理なく入っていけるようなサービスにしていきたいです。最終的にはより多くのユーザーがビジネスでもプライベートでもリアルな外国人とのコミュニケーションを通じて、人生が豊かになったと実感していただけるようになれば幸いです。

*1第三者機関によるオンライン英会話サービス評価・満足度に関する調査。総合サービス評価指数No.1(16項目/16項目全てで1位)、サービス認知度No.1 調査委託先:インテージ 実施日時:2020年4月、調査対象:18〜59歳男女(1,085名)
*2自社調べ リアルな講師との英会話レッスンを提供する、日本企業のオンライン英会話サービスでは初となります。
*3自社調べ
*4語学ビジネス市場に関する調査を実施(2023年)(株式会社矢野経済研究所)

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