ヒット作からマニアックまで。3,400万ユーザーを抱える巨大ゲームプラットフォーム
数々の人気タイトルがある「DMM GAMES」のプラットフォームについて教えてください。
津名:「DMM GAMES」プラットフォームはブラウザ版に加え、PC版ダウンロード用ソフトウェア「DMM GAME PLAYER」、Android向けゲーム配信アプリ「DMM GAMESストア」という3つから成っています。
「DMM GAMES」全体で登録ユーザーは3,400万人以上。現在運営中のオンラインゲームは240タイトルを数え、提供中のパッケージゲームは約13,000本に及びます。DMMにはTV、電子書籍、動画といくつものサービスがありますが、ゲーム事業だけで昨年は売上729億円と、その規模の大きさには自分でも驚いてしまいます。
その中で、EXNOAのプロダクト本部はどのような役割を担っているのでしょうか。
津名:私たちプロダクト本部ではゲーム開発はしていません。私たちはプラットフォームの運用と構築を担い、『ユーザーにとって遊びやすく、ゲーム会社にとってゲームを配信しやすい「場」を提供すること』がミッションです。
私は全体のグロース戦略や施策などを立案・実行し、高橋はストアプラットフォームの責任者として各種案件の管理を行っています。
多様なゲームを包括した、Android特化型アプリ
積極採用中だという「DMM GAMESストア」とはどのようなアプリですか?
津名:Androidに特化したゲーム配信アプリが「DMM GAMESストア」です。ストアアプリをダウンロードすると、アプリゲームやブラウザゲーム、基本無料のオンラインゲーム、『艦隊これくしょん-艦これ-』や『ミストトレインガールズ~霧の世界の車窓から~』『千年戦争アイギス』などの人気タイトルや、ヒット作から派生したミニゲームなどが楽しめます。
国内外にさまざまなゲーム配信プラットフォームがありますが、Androidに特化したゲームプラットフォームアプリは非常に珍しく、2013年という早期スタートで、これだけ大規模展開したのは当社だけだと思います。
プラットフォームを開発する面白さはどういうところにありますか?
津名:シンプルに、規模の大きさは面白さの1つです。私が過去に担当していた事業と比較すると、MAUやDAU、取り扱っているコンテンツ数(ゲームの数)が桁違いです。
日々プレッシャーを感じますが、巨大かつ歴史あるプラットフォームをさらにスケールしながら、ユーザー一人ひとりに最適なゲームを提供することの両立がプラットフォーム開発の醍醐味だと思います。
高橋:他に似たようなサービスがないことも面白さですね。ゲームアプリ単体をプラットフォームに提供しているケースはたくさんありますが、さまざまな会社が開発したタイトルを包括したゲームプラットフォームアプリはほとんどありません。
スマートフォン業界全体で見ても、Google PlayやApp Storeのようなプラットフォームビジネスをアプリ上で展開しているサービスはあまりないと思います。
ユーザーに何も感じさせない「空気のような存在」
ゲームのプラットフォームは何気なく使って「素通り」してしまう印象ですが…。
高橋:プラットフォームは「素通り」してもらうくらいでよいと思っています。
ユーザーインタビューで「プラットフォームは空気のような存在であってほしい」と言われたことがあって、ハッとしました。ユーザーは「好きなゲームに最短距離でたどり着きたい」という気持ちなのに、プラットフォームが独自色を出しすぎたり、プロセスが複雑では使いにくい。プラットフォームを開いて、ゲームを見つけて遊ぶまでユーザーに何も感じさせない、空気のように無くてはならない当たり前のような存在であることが理想なのです。
プラットフォームを回遊して新たなゲームに出会ってもらえるような機能も盛り込みますが、ユーザーの気持ちを阻害していないか、使いづらくないかということは常に気にしています。
ユーザーと開発会社双方にとって良いプラットフォームであるために、他にもこだわることはありますか。
高橋:ユーザーに対しては、本人も気づいていない潜在的なニーズを探し当てることを心がけています。「まだ言語化できていないニーズ」を機能化して、価値を提供できたときの達成感や、それらが数字や結果として現れ、関係各者から感謝の声をいただいたときは何ごとにも代え難い喜びを感じます。
ゲーム会社に対しては、「タイトルをリリースしたい」と思える場にすることを大切にしています。ゲーム会社にとって「このプラットフォームに配信すればダウンロード数や売上が伸びる」「ゲームやブランドの認知が上がる」などのメリットを感じてもらい、多くのゲームを提供していただけたらうれしいですね。たくさんのゲームが提供されているからこそ、ユーザーも増える。プラットフォームがグロースするこのサイクルを仕組み化するのが、大きなテーマだと思っています。
クイックにリリースしてPDCAを回す
現在、どのような体制で開発していますか?
高橋:プロダクト本部は約200名で、その内「DMM GAMESストア」は約20名のメンバーがいます。プロジェクトは、デザイナー、ディレクター、エンジニアが各1名ずつで行うものから、マーケティングをはじめ他部署と連携する数十名規模のプロジェクトまで様々です。クイックにリリースしてPDCAを回したいので、開発期間は数ヶ月、長くても1年くらいです。
津名:他部署との連携は非常に多いですね。ブラウザゲームやPCダウンロード版で検証してよかった機能を「DMM GAMESストア」アプリに入れることもありますし、その逆もあります。
ゆくゆくはゲーム事業のみでなく、DMMグループの他事業でデータ分析・検証した結果を双方で活かす事業間連携を推進したいです。
どんなメンバーが集まっていますか?
津名:ゲームが好きな人もいれば、全然ゲームをやらない人もいます。新しいものが好きな人が多くて、Amazonや楽天、Yahoo!など、様々なプラットフォームにアンテナを張って、逐一チェックしています。
高橋:津名のようにプラットフォームのマーケター経験者もいれば、Webサービスをやってきた人もいます。私のように元SEという人も多いですね。ゲーム開発経験者と、システム開発・Webサービス経験者が半数ずつでしょうか。ディレクターやPM、PO、PdM経験者が集まっています。
みんなグローバル状況を含めて、トレンドをキャッチアップしていて、新たなサービスがローンチすると、このシステムはユーザーやゲーム会社にメリットがあるかなど、ディスカッションが盛り上がります。
日本No.1のプラットフォームへ
「DMM GAMESストア」の開発には、どのような方が向いていますか?
津名:ゲーム開発の経験はなくて構わないですし、課金や決済まわりの技術もマストではありません。業界を問わずプラットフォーム開発の経験者は大歓迎です。C2CやEC、動画配信でも、プラットフォームであれば間違いなくグロース戦略設計に経験を活かせます。
スタートアップやSaaSカンパニーでプロダクトを1人で見ているPOやPM、PdMも向いていると思います。プラットフォームって、PMが1人で全体像を把握し施策を実行しなければならないことが多いので。1人で何役もこなしていた方には培った実力を日本最大級のゲームプラットフォームで試せる環境だと思います。
高橋:基本は一般的なスマートフォンアプリサービスの開発運営と変わりません。PdMやPOという職種は「何をやれ」と指示はされず、自分たちでやることを決めて、結果を出していく必要性があります。結果が伴えばやり方に正解はありません。
トップダウンのフラストレーションを感じていた方や、小規模な会社でもプロダクトに関することを何でもやっていた方は活躍できると思います。
各メンバーに裁量や権限が与えられている環境なのですね。
高橋:役員である網代とクイックに会話できる環境があるので、決裁まで何カ月もかかるようなケースはほとんどなく、1~2週間でGOが出ることもあります。企業規模が大きいからこそ大胆なリソース投下もできますし、スピーディな意思決定や戦略の実行ができるのも、DMMグループならではです。予算や人員、リソースも手厚いと感じます。
最後に、今後の展望について教えてください。
津名:プラットフォーム事業はすでにDMMグループにとって大きな収益の柱ですが、より一層スケールさせていかなければなりません。
ユーザー数を増やすには、ゲームタイトルを増やすことが重要です。ユーザーにも、開発会社にもメリットある仕組みをどんどんつくって、日本ナンバーワンのプラットフォームを目指して、走り続けます。