DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。
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挑戦し続けるDMMのデジタルコミック事業 100名採用の意気込みを語る

DMMグループの一番深くておもしろいトコロ。

※2023年9月1日に、株式会社フューチャーコミックス、株式会社コミックストック、株式会社GIGATOON Studioの3社が統合され、株式会社CLLENNに変更されました。

  • 石黒 健太(いしぐろ けんた)DMM.com 二次元事業本部デジタルコミック事業部長/株式会社フューチャーコミックス 代表取締役

    デジタルマンガ出版を手がけるフューチャーコミックスで編集者、統括部長を経て、2017年から同社代表に。2014年にDMMグループ入り。これまでに出版した作品数は2000作品を超え、累計300万DLを超えるヒット作を生み出すなど、右肩上がりの成長を実現。2020年にはマンガ作品である『性の劇薬』を実写映画化し、その後Netflixで配信され話題を呼ぶなどメディアミックスにも注力。

フューチャーコミックス、コミックストック、ギガトゥーンスタジオの3つのグループ企業で構成されるDMM.com二次元事業本部のデジタルコミック事業。現在、同事業では新たに100名のマンガ編集者を採用することを掲げた。体制を強化する狙いはなにか。今後どのような展開を考えているのか、デジタルコミック事業部長であり、フューチャーコミックスの代表取締役でもある石黒に話を聞いた。

インパクトのある「100名採用」の狙いは?

石黒さんはフューチャーコミックス時代からデジタルコミック事業には長く携わっていますが、これまでのデジタルコミック業界を振り返っていかがでしょうか。

石黒:基本的に、読者のニーズとデバイスの進化に合わせて広がってきたと感じています。事業を開始した当初はガラケーの本当に小さい画面に1コマだけマンガが表示される形式でした。これは紙のマンガとは全然違う読書体験ですよね。でも、そこからスマホやタブレット端末が出てきて、紙のマンガと読書体験が近くなってきたし、マンガ家さんの筆致がものすごく伝わるようになってきたと感じています。

そして、今、デジタルコミックが一般的になってきて、画面の大きさとともに事業展開が広がってきました。ただ、そんな中でも、作家さんと編集者の一対一で作品を作るところは変わらないなと思っています。だから、ずっと一つのことをやり続けてきた実感があります。

今回なんとDMMのデジタルコミック事業では100名の編集者を採用すると掲げています。驚愕な数字ですが、なぜ100名採用することになったのでしょうか。

石黒:一言で言うと「100名採用するっておもしろい!」ってことかなと思います。僕たちはエンタメの世界にいるので、インパクトのあるおもしろいことを常に考えて、生み出していく使命がある。できっこないと思うようなことを掲げて、「おもしろい」と賛同してくれる人を集めていかなきゃいけない。正直、100名って無理じゃないの?ってみんな思っているし、実際に採用を進める中でも難しいと思っています。でも、挑戦してくれるような人にきてほしいから、100名採用を掲げています。

DMMには現在デジタルコミックのグループ会社が3社もありますよね。DMM全体でマンガをプッシュしていく空気になっているのでしょうか。

石黒:そうですね。我々が自信を持って作った作品でも、世の中に作品が溢れるなかで日の目を見ずに埋もれてしまうものもありました。そういう作品にスポットを当てる意味でも、さまざまなチャンネルでその作品たちを見せていく場所が必要になります。それはDMMでしかやれないし、僕らがそこに力を使っていく意味があると思っています。マンガが生み出されて、映画化されたり、紙のコミックスになったり、アニメになったりドラマ化されたり……。どこの入り口から入ってもらってもいいのですが、原作のマンガに触れる機会を多く作って、これだけ作品がある中で見つけてもらえるようにする。そういう使命があると思っています。そのためにも、まずはしっかりと良い作品を作る必要があります。そこで100名という人材なんです。

DMMのグループ企業であることの強み

DMMグループのデジタルコミック事業ならではの強みを教えてください。

石黒:DMMのグループ企業であることの強みは、やはり今ある他の事業と連携しやすいことですね。すでにアニメやゲームを手掛けているので、作品の広がりを作るためにも、それらと連携してシナジーを生み出していく必要があると考えています。実際に、自社制作と自社配給で原作マンガを映像化しました。何かをやりたいと思ったときに、成功まで持っていこうという意志があればやれる場所だと思っています。

それは映像化でもマンガでも同じことで、それが我々の一番の強みだと思っています。これはマンガ編集の経験者に向けてのメッセージになるのですが、企画が通りづらい経験をした人、作家さんの力を引き出したものの作品を出せずに悔しい思いをした人たちにはぜひ来てほしいなと思います。DMMはそういう人たちの受け皿になってきたと思っています。すぐに行動する力があれば叶えられる場所。僕はそこが一番いいところだと思っています。

ずっと活躍し続けられる場づくり

実際にどのような人が会社に合うと思いますか。

石黒ポジティブな人、変化を恐れない人。読者のニーズに応えるためにはスピード感不可欠ですし、日々何か新しいことが起こることでもあります。ルールが変わったりとか、新しい発見があることを喜べるといいのかなと思います。

あとは、最後までやり切れる人に来てほしいなと思います。基本的に、作家さんが接する人って編集者しかいないんですよ。

そうですね。

石黒:その編集者の印象が会社の印象だし、どういう作品を作りたいか、会社に対して企画を通すのも編集者です。だから作家さんの作品を預かっている、人生を預かっていると思って最後まで責任を持って取り組めることは、一番大事ですよね。

作家さんと編集者って二人だけのクローズドな関係性ですよね。そこの人間関係をうまく回せないと難しいなと思います。

石黒:そうですね。そこはすごくあると思います。先ほど「ポジティブな人」を会社に合う人の条件に挙げましたが、リラックスして、自分の息抜きをちゃんと見つけられたり、落ち込みすぎなかったりと、上手く切り替えられる人は長く続けられるのかなと思います。

編集者は孤独になりがちなイメージがあるのですが……。

石黒:基本的に作品を生み出すのは、作家さんと編集者の一対一の関係です。しかし、それを支える裏方の仕事もたくさんあります。営業だったり、映像化していくためのスタッフだったりとか。エンタメの仕事って、表側に見えている仕事よりも裏側の仕事がたくさんあって、そういう人たちも含めて、全員で作品を作っているところを自分は大事にしたいと思っていて。他の編集者が面白い作品を作ったら、それが生まれたことをみんなで喜べる環境がいいなと思っています。

編集者としてどのようなキャリアパスが想定されますか。

石黒:会社員で編集者をしていると、どうしても年齢とともにマネジメント側にまわることになり、編集業務に携わりづらくなりますよね。ただ、望まない人にマネジメントを担当してもらっても上手くいかないんですよね。編集業を突き詰めていきたいか、そうでないかは選択してもらう必要があります。

まずは、現場で作品作りを続けられることを、自分たちはいかに回し続けられるか、その場を提供し続けられるかだと思っています。その中でより、経営側に行ってみたい人がいれば、そういうポジションも考えます。

そうですね。正社員でありつつ、ずっと作品に携われるのは魅力的ですよね。

石黒:そうですね。ただ、一つのジャンルだけやり続けていると、だんだん時流のズレが発生してくることがありますよね。だから、その人員を支え続けるためには総合出版化していくのは常だなと思っています。

総合出版化ですか?

石黒:はい。要は、ジャンルを広げていって、総合出版に向かっていかないと、人材の流動を起こせなくなってきます。専門性の高さが評価されていても、時流に乗れなくなってくると、本人も苦しい思いをします。そのときに「このジャンルをやってみたらもっと輝けるんじゃない?」と提案できますよね。それは、編集者だけじゃなく、作家さんも含めて。

場作りをしていきたいということでしょうか。

石黒:そうですね。自分の仕事はそれかなと思っています。それができればサステナビリティですよね。みんなが活躍し続けられます。

多様な物語と多彩なキャラクター制作を目指して

これまでフューチャーコミックスやコミックストックでは、BL、TLから一般コミックレーベルまで幅広く手がけていますが、特にBLに力を入れている印象を受けました。なぜBLなのかを伺いたいです。

石黒:BLは性描写以外の要素を作品に散りばめやすいんです。多様な要素を入れて物語を作ることが、他のジャンルよりも受け入れられやすい土壌というか。物語性があってキャラが立った作品を作ることができる可能性のある領域だと感じて、BLに力を入れています。

マンガ作りの重要なところを詰め込むことができるんですね。

石黒:そうですね。基本的に、自分はマンガってキャラとキャラが出会ったときに何が起きるかっていう、関係性の話だと思っているので。マンガの基本というか、BLはそういう大事な要素を詰め込みやすかったっていうのはあります。

石黒さんはBLを読みますか。

石黒:この仕事をするにあたって、たくさんのBL作品を読んできました。でも、どうしても僕の口からBLをわかっているとは言えないです。理解しようと思っているし、そこに近づけようとしているから、まったくわからない人よりかは気持ちを汲めると思っていますが、本当の意味での理解っていうのはできないんだろうなって。むしろその努力を続けていくべきジャンルだと思っています。

トップが理解しようと日々努力している姿は、とてもいいですね。

石黒:DMMのデジタルコミック事業が作っている作品は、何者も否定しない姿勢が根幹にあります。曖昧さのある作品もあるし、断定することを否定しない作品もあります。言葉として「BLってこうです!」とか「マンガってこうです!」って強く言われたい人もいるだろうし、そこに応じていかようにも変えていける。DMMの「いろんな事業がある」という器の大きさもそれに繋がっているんじゃないかなと思います。それぞれ主張し合っているけれど、共存できるって、つまり、曖昧さもあるし断定もあるしってことだと思います。そこにいかに架け橋を作って繋げていくかが重要なポイントだと思っています。

現在は、BLやTLに力を入れていますが、今後はどういった作品を作っていきたいですか。

石黒: この会社の代名詞になるような作品、それも誰もが知る作品をこれからも作り続けたいです。いつまでもみんなに見てもらえる、愛されるような作品・キャラクターを生み出したいなと思っています。それが生まれる土壌を作りたいですね。チャンネルを広げていくためにも、多種多様な編集者にきてもらう必要があります。だから、100人採用を掲げている部分もありますね。

DMMのデジタルコミック事業の今後の展開

事業責任者、経営者として今後事業をどのように成長させていきたいと考えていますか?

石黒: 実を言うと、すでに叶ってしまっていることが多くて。マンガを作れる環境があって、それを展開できる環境があって。それでもう十分なんですよね。だから、これからは共鳴させる、音をもっと大きく鳴らすための場所がほしいと思っています。デジタルコミック事業部やグループ各社を大きくするというよりは、「仲間を集める」ことがしたいです

これからはもっと企業間で力を合わせて作品を作っていくような環境を目指す必要がある。一番最初に、読者のニーズとデバイスの進化によって形が変化してきたとお話しましたが、自分たちだけではそういう進化に応えられなくなってしまうと思ったんですよね。今見てるスマホもどう変化するかわからない。でも、応えていかないといけない。だから、連合を作ろう、と。同志を集めることが、次の目標かなと思います。それは、必ずしも個社に紐付かなくてもよくて、みんなが集まって大きな装置になればいいと思っています。それぞれが属する会社をどうしていきたいか、というよりは、自分たちが今やっていることを進化させ続ける、その周りに自分たちだけではできないことをやれる人を集めていくイメージです。

編集者は余人をもって代えがたい仕事

では、最後に応募を考えている方へのメッセージがあればお願いします。

石黒:マンガ編集の未経験者に対しては、編集者になりたい気持ちがあったら、それは諦めないでほしいです。ここで叶えられるチャンスがあるから、ぜひ応募してきてほしいって思います。経験者に関しては、今ある環境に満足していないのだったら、自分で変えられるチャンスがここにあるよ、と伝えたいです。

僕たちが今こだわっていることは、作品を作るときにこの作家さんでしか描けないことを、どう世の中に翻訳して伝えていくか、です。読者が読みたいものにチューニングしていくために編集者がいます。読者の言葉を編集者が作家さんに伝える。ある意味、余人をもって代えがたい仕事だと思っています。なので、その人たちだけでしか作れない作品をたくさん生み出していってもらいたいです。

 

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取材・執筆/村治 けい 撮影/村井 香

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