3月25日『DMMブックス』では、初回購入に限って70%OFFになるキャンペーンを行いました。その結果、上限の100冊まで購入する人が続出。社会現象と呼べるほど拡散しました。想定以上の大反響を踏まえ、当初の予定を大幅に前倒しして終了。DMMの歴史のなかでも最大級のインパクトを残す赤字施策となりました。その顛末と本音を、会長の亀山に聞きました。
当時のキャンペーン訴求バナー
予想外の購入で赤字が毎時間 膨れあがっていく
本音を言うとさ、最初に電子書籍事業部の責任者から聞いた時は、その金額の大きさにびっくりしたんだよ。だって60億円の赤字だからね(笑)。
基本的に、俺は事業に対して余計な口は挟まない。今回の『DMMブックス』のキャンペーンの判断も事業部に一任していて、赤字を報告された時に初めてことの経緯を知ったんだ。
キャンペーンがスタートした時点では、反響らしい反響はほとんどなかったらしい。ところが、キャンペーンのスタートから1週間ちょっと経ったあたりから、風向きがだんだんと変わってきた。いくつかのツイートがきっかけになって、上限の100冊を購入する人が続出したんだ。
もし、このあたりで反響が落ち着いていたら、適正な予算内で『DMMブックス』の認知度も、ユーザーの数も大きく伸びて、キャンペーンとしては大成功だったと思う。
でも、バズった勢いっていうのはそう簡単にコントロールできるものじゃない。この70%OFFキャンペーンのことは、有名ネットメディアでもたくさん取り上げられて、事業部の予想をはるかに超える大きな反響になってしまった。
このままキャンペーンを続けると会社全体にダメージを与えかねない。そう判断して、結局、事業部の責任者が早めに打ち切ることに決めたんだ。
あるツイートがきっかけでキャンペーンが加速度的に伝達。導入が爆発的に増えて行き、同時に赤字も膨らんでいった。
「故意にやったか、ただの失敗かは全く別モノ」
あとでその責任者に話を聞いたら、「辞表を書くつもりでした」って打ち明けてくれたんだけど、俺は最初から辞めさせる気なんて全くなかったよ。
起きてしまったことは仕方がない。失敗したら反省する。過去のことは一旦忘れて、次の一手を考えればいいんだよ。このキャンペーンだって赤字の額としては高くついたけど、新規会員が増えたことには間違いない。『App Store』のカテゴリ内でダウンロード数が1位になったり、想定していたより新規ユーザーが増えたり、実りの部分もあった。
あとは、その新たな会員に対して何ができるか。失敗から得たものをどう活用するか。そこを考えて努力してくれればいいと思うんだよね。
「金額の大きさではなく、その人間の行動で評価する」
そもそも今回の件に限らず、俺は、現場に権限を与えて、予算や経営方針を一任している。失敗することも織り込み済みだよ。失敗したら失敗したというだけのこと。
確かに60億の赤字はでかい。でも、俺にとって、失敗っていうのは金額の大小の問題じゃないんだ。失敗をしてしまった人間の行動。そこで大きく評価が変わるんだよ。
俺が、いちばん大切しているのは、信用できる人間に任せるということ。
もし、こういった状況で、報告が遅れたり、言いにくいことを言わなかったりしたら、俺は烈火のごとく怒るよ。そして、その人間を二度とつかわない。
今回の件は、わざとやったわけではないから、不正でもなんでもない。しかも、事業部の責任者はこのキャンペーンの失態を、俺に最速で報告に来た。下手な隠蔽なんかせず、全てを正直に伝えてくれたんだ。この時点で、これまでと同じく彼は信用できると思った。
ただし、はっきり伝えたのは、"同じ失敗をくり返すな” ”一度の失敗を二度の成功で補え" ってこと。あとはゴチャゴチャ言わず、俺は、黙っていればいい。DMMってそういう会社なんだよ。
DMMの5つある行動指針のひとつ「1.本気の失敗を肯定する」。失敗しても行動がともなえば、その人の社内での評価・信用は失われない。
電子書籍の業界2位を目指し、『DMMブックス』の成長は加速する
どうして今回、こんな大胆なキャンペーンをやったかというと、「DMMの電子書籍事業部を今後も大きく成長させたい」と、事業部の責任者が強く思っていたからなんだ。改めてサービス名とアプリ名を『DMMブックス』に統一するタイミングで、より認知度を高めるため”70%OFF100冊”を実施した。これまでも”50%OFF100冊”っていうのはやっていたみたいなんだけど、もっとチャレンジした結果がこれだった。
それでも成長に向けたチャレンジは絶対に必要なもの。その姿勢はちゃんと認めてあげないといけない。あとは、ここからどう巻き返してくれるのかが楽しみだね。責任者が言うには、「まず目指すのは業界2位」。これからも新たな施策があると聞いているし、今後に期待しているよ〜。
組織改編や採用なども行い、DMMブックスをより良いサービス・より良いチームにするために積極的に投資している。
編集/橋本 歩
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