DMMは未知の領域にも果敢に攻めていく
粕谷CFOはこれまでのDMMの成長を間近で見てきたそうですね。
粕谷:私がDMMに入社したのは2009年です。ちょうどその年からスタートしたのが現在DMMの収益の柱のひとつとなっているFX事業。当時、金融業界への進出はまったくの新たな挑戦でした。こういった新領域へのチャレンジはいまも変わらず続いていて、オンラインゲーム事業や太陽光発電事業など新たな収益源が続々と生まれています。
FX事業に参入した当時からDMMのカルチャーはまったく変わっていないんですね。
粕谷:そうですね。バックオフィス部門のメンバーのひとりとして、あの頃のことはよく覚えています。
当時、FX業界の競合他社の方々はまったくの門外漢であるDMMがこれほど本気で攻め込んでくるとは思っていなかったのでしょう。DMMのことは完全にノーマーク。「どうせ失敗するに決まっている」と考えていたのかもしれません。
でも、結果はその逆で、DMMは大成功を収めることができました。未知の分野に進出するとき、躊躇してしまう企業が多いと思いますが、トップである亀山会長にはそれが一切なかった。毎月毎月数億円規模の資金を投入していったんです。そうした攻めの姿勢と数々の戦略が実って、あっという間にDMMのユーザー数は激増。見事に業界シェアで1位、2位を争うようなポジションを確立しました。
当時の私は、収益のシミュレーションを組むサポートをしていたんですが、あんなに激しいお金の動きは初めて見ましたね。ユーザーの口座数はどんどん増えていき、収益も上がっていくんですが、莫大なマーケティング費のために、稼いだそばからお金が消えていくし、足りない資金を毎月追加投入していました。一体何が起きているのか理解が追いつきませんでした。
バックオフィスはビジネスの成否を握る重要な部門
どうしてDMMにはそんなことができたんでしょうか?
粕谷:ひとつは、亀山会長の商売人としての嗅覚の鋭さとセンス。もうひとつは、非上場だからこそのしがらみのなさでしょうね。ステークホルダーが少ないので、とにかくDMMは意思決定が早い。
それに、株価や株主を考慮しなくていいので、目先の利益にとらわれない長期的な観点から意思決定をすることができる。こういった要素は、挑戦を良しとするDMMのカルチャーにとても大きな影響を与えています。
現在もDMMは成長を続けていますが、改めて粕谷さんが感じるこの会社の魅力を教えてください。
粕谷:大企業とベンチャー企業。それぞれの良いところをあわせ持つのがDMMの大きな魅力だと思います。
まず、財務基盤が安定しているという意味では大企業的な良さがあります。さきほど申し上げた通り、DMMはFXを始め、動画配信やオンラインゲーム、太陽光発電など、収益の柱となる事業をいくつか展開していてポートフォリオになっているので、環境変化への耐性があります。資金的に切羽詰まっているわけではないので、社員の皆に過度な負担をかけずに働いてもらえる環境が整っています。
また、DMMには新たなチャレンジを積極的に行うカルチャーが根付いていて、そこはまさにベンチャー的な良さではないでしょうか。とにかくフラットな雰囲気なので、ポジション関係なく、意見の筋が通っていたり、あるいは結果を出しさえすれば、どんどん裁量が与えられる。事業の成長とともに自らもキャリアップをしていける機会はとても多いと思います。
では、バックオフィス部門で求められる業務も一般的な企業とは少し違うんですか?
粕谷:コストセンターとして捉えられてしまうこともあるバックオフィスですが、DMMではむしろビジネスの成否を決定づける重要な部門のひとつだと考えています。なぜかと言えば、いくら多くの新規事業を立ち上げ、拡大させても、それを支えるバックオフィスがきちんと機能していなければ、たちまちそのビジネスは立ち行かなくなってしまうからです。
DMMは常に挑戦しているからこそ、変化の激しい企業です。もちろん、バックオフィスのメンバーはルーチン業務にも取り組まなければいけませんが、それ以上に強く求められているのは事業変化に合わせた業務改善や課題解決。ビジネス感覚をしっかり持ちながら働けるので、一般的なバックオフィス業務よりはるかにダイナミズムを味わえると思います。
そして、こちらにいる西脇さんと佐々木さんは、そんなDMMのバックオフィスの考え方に共感して、このたび新たにジョインしていただいたお二人です。彼らはいわばバックオフィスのスペシャリスト。成長し続けるDMMを強固に支える仕組みづくりを担っていただいています。
DMMは桁違いの企業
西脇さんは、前職ではどのようなお仕事をされていたんですか?
西脇:上場企業のCFOを務めていました。その企業がIPOを目指していたタイミングでの入社でしたので、上場に向けたバックオフィス体制の構築が私の基本的な業務でした。経営環境やビジネスの成長に合わせて、そういった仕組みづくりを行っていくのは非常に創造的で、結構充実した日々を送っていたんですよね。
では、どうしてDMMに?
西脇:IPOを果たした後、状況が大きく変わってしまったんです。ビジネスが軌道に乗ったことで、ルーチン業務の割合が次第に大きくなっていってしまって。もちろん企業にとっては良いことではあるのですが、個人的には変わり映えしない仕事にどうしても興味が湧いてこなかった。
そこで、次のキャリアをいろいろと模索している中で出会ったのがDMMでした。最初は、得体の知れない会社、といった印象でしたね(笑)。エンタメ系の事業に注力しながらも、あまりシナジーのなさそうなビジネスを複数展開しているな、という感じで。
一般的にはこういった手広くビジネスを手がけている企業は、あまりうまくいっていないことが多いものですが、いざいろいろと調べてみたらDMMは普通じゃなかったというか。60以上の事業を展開しながらも、中には1事業だけで上場会社規模の稼ぎを生み出していたりする。そんな規格外の事業が複数あって、しかも非上場。こんな桁違いな会社ってまず国内には存在していないんですよ。
ここで働いたら「毎日ワクワクドキドキできそうだな」そう思えたのが、ジョインした理由として大きいですね。
仕組みが整っていないからこそ面白い
佐々木さんはこれまでどのような仕事をされてきたんですか?
佐々木:大学を卒業して最初の10年間は製造業で経理として働き、その後はファーストリテイリング、ユニクロといったほうが分かりやすいでしょうか。13年ほど働きました。そこではIRや経営計画などの仕事をやったり、キャリアの後半は海外事業の代表取締役や役員を務めたり、いろいろと経験させてもらいましたね。そこからさらに不動産業を展開する企業に転職してCFOを務めていました。
DMMのどこに惹かれて転職されたんですか?
佐々木:さきほど西脇さんも同じようなことをおっしゃっていましたが、シンプルに面白そうな会社に見えたんですよね。成長しようとするベクトルがかなり強くて、刺激的な環境の中で働けそうだなと思いまして。
あとは、良い意味であまり仕組みが整いきっていなくて発展途上に見えた、というのもDMMに惹かれた大きな理由ですね。同じ作業を早く正確にこなすことが求められるというよりは、組織の課題を解決したり、大きな仕組みを整えることを求められるほうが僕は魅力を感じます。組織としての伸び代が十分あるDMMだったら、これまでの経験やスキルが活かせて、自分も楽しく働けるなって。そう思えたんですよね。
バックオフィス部門は今後さらにパワーアップする
これからお二人は、DMMでどんなことを実現していきたいですか?
西脇:現在私が取り組んでいるのは、会計業務の効率化プロジェクトです。本来は合理的で、美しい会計サイクルの仕組みができあがっているのが理想なのですが、DMMは急成長を続けていることもあって、いまはそこにギャップが生じている状況です。
特に、新規ビジネスを次から次へと起ち上げるDMMでは、バックオフィスのオペレーションに少しでも非効率な部分があると、ビジネスの阻害要因になりかねない。この会社が将来的にさらに成長するためにも、そこは常にアップデートしていかなければいけません。
テコ入れしなければいけないポイントも難易度も本当に様々ですが、ワクワクとドキドキを忘れず、この重要なミッションに取り組んでいきたいです。
佐々木:私が管掌する経理本部は、約100人のメンバーが所属する大きな組織です。私に求められているのは、メンバーそれぞれが安心して仕事に取り組めて、なおかつ個々の能力を最大限発揮できるような環境を整えることです。
マネジメントに魔法があるわけではありません。メンバーの声に耳を傾けたり、ときに一緒に悩んだりしながら、地道に組織と向き合って働きやすい環境を整えていきたいですね。
あと、経理部門に限らずバックオフィス部門で働くメンバーには小さく縮こまらないでほしいと思っています。失敗をしてもいいから、いろいろな仕事にぐいぐいと首を突っ込む、そこに楽しさを感じてほしいなと思います。私なりにメンバーを日々焚きつけながら、そういった人材を増やしていきたいと考えています。
粕谷:西脇さんも、佐々木さんも、これまでCFOとして組織を率いた経験があり、高い見識や豊富な知識を持っています。お二人の力で、ぜひともDMMのバックオフィス部門を大きく変えていってほしいですね。
最後に、粕谷CFOがこれから実現していきたいことはなんでしょうか?
粕谷:そもそもDMMには経営理念がありません。亀山会長も「理念がないのが理念だ」と言っているくらいですから(笑)。でも、会社の確固たる軸としてあるのは、みんなで商いを楽しむ精神。とにかく試行錯誤をしながら、あれこれと挑戦していくのが大好きな人間たちの集まりです。
バックオフィス部門としては、そんな賑やかな雰囲気のなかで、日々の業務をさらに進化させ続けなければいけません。言葉としては少し陳腐ですが、DX化とAIの活用。これらに積極的に取り組みながら、今後もDMMの成長を支えていきます。