年齢も性別も職歴も関係ない、やった分だけ可能性が広がる
「事業に関するコンテンツを観たり読んだりはするけど、もともとアニメやマンガが大好きで事業に関わりたくてDMMに入社したというわけではないんですよ(笑)」
そうはにかみ、ビジネスライクな姿勢を崩さないのは、二次元事業の舵取り役・棚田。彼は大学時代にECサイト事業を立ち上げた後、DMMにジョインした。
「正直、サービス自体に詳しかったわけではないんです。ただ年功序列がなく、事業の領域も指定されず、やった分だけ経験できる幅が広がるという印象を受け、自分の可能性を広げたいという思いから入社を決めました。」(棚田)
既存事業よりも新規事業に興味があった棚田は、経営企画室に配属され、新規事業開発に携わり、アニメーション事業の販売部門の責任者として同事業にアサインされた。
「『経験ないだろうけど調べてやってよ』という相談が1年に1回くらいあるんですが、アニメーション事業へのアサインは特に唐突でしたね(笑)。もちろん悩んだこともありますが、基本的にはオファーをもらったポジションには即答することが多かったですね。事業にこだわりはなく、むしろ新しい挑戦が常にできる環境が楽しいんです。」(棚田)
以降、エンタメ関連の事業開発や統括を経験。現在はイノベーション本部や二次元事業本部、2つの本部を統括している。
二次元事業本部の発足の経緯については、業界の頂点へ、巨大プラットフォームの未来を担う「二次元事業本部」発足 をご覧ください。
変革の余地が大きく、刺激のある会社
一方で、「僕はアサインが決まったと同時にめちゃめちゃマンガを読み込んで、解像度を一気に上げましたよ」と、電子書籍事業部部長で「GIGATOON Studio」を立ち上げた太田が続く。
2021年にDMMにジョインした太田のキャリアは、モバイル通信業界からスタート。
「僕が最初に携わったのは『2Gを壊す』ことでした。ちょうど3Gが始まる時代で、最後は4Gをつくっていましたね。携帯電話業界を離れるきっかけは、Apple社のiPhoneの登場。iPhoneに押されて日本のメーカーが全部消えていくのを目の当たりにしまして……。エンドユーザーに届くモノづくりをしなければならないと気づかされ、キャリアの転換点になりました。」 (太田)
モノづくりを軸に、太田が転職先として選んだのは低価格帯のメガネブランド・JINSを展開する株式会社ジンズホールディングス。サプライチェーン構造改革をPJTリーダーとして推進、モノづくりの上流から下流まで全部やりつくしたという。
その後ネット印刷事業で知られるラクスル株式会社に入社。事業開発のマネージャーとしてQCD向上を推進し、SCM部長としてサプライチェーンを改善。その後、数十億規模の成長事業の事業責任者に就任するなど、事業統括を担った。
「JINSでもラクスルでも学ぶことは多かった。担当するプロジェクトで、役割や求められるスキルが大きく変わることが多かったキャリアでした。そこで、何かひとつのモノづくりに特化するよりも、いろんなモノに携わり、事業成長させる方が自分は向いているのではないかと気がついたんです。そこで、規模が大きく、変革の余地が大きくて刺激ある状態が保てる会社に行きたいなと思い、DMMへの転職を決めました。」 (太田)
DMM入社2カ月後、会社全体に大きな事業方針の転換が訪れる。DMMにある、あらゆるエンタメ体験をシームレスにつなぎ、コンテンツをより深く楽しむためのマルチエンタメ・プラットフォーム「DMMプレミアム」が立ち上がることとなった。
総合動画配信サービス「DMM TV」(2022年12月にサービス開始)を入り口に、電子書籍をはじめとする二次元コンテンツ、ユーザー体験も拡充することとなった。中でも「DMMブックス」は新サービス「DMM TV」のアプリ内でタブで連携しており、“マルチエンタメ”の肝だった。
電子書籍サービス自体はすでに展開されていたものだったが、そのタイミングで太田は強化人材として投入されることに。
「DMMは新規事業はもちろん、既存事業も上限なく伸ばそうとする会社。体制や人、考え方も含めて、随時アップデートする必要がある。そこに僕の介在価値があり、永遠にモノづくりに関わり続けられるんじゃないかと思っているので、今すごく仕事が楽しいですね。」(太田)
商売が好きで儲ける感覚を持つ人
この会社で働くならどんな人物が向いているか。DMM内で人事や事業開発など、さまざまな職種を経験しキャリアを形成してきた棚田に問うと「こだわりがないこと」と即答。
「『ここじゃなきゃ嫌だ』と固執する人は、与えられる機会が減って活かせる幅も狭まると思います。実際『興味がある』と発言したら、業界経験がなくてもポンと放り込まれることはよくあるんです。」(棚田)
会社の中で最も多くの事業を担当する棚田。変化を楽しめるマインドこそが、棚田に多くの経験と成長をもたらしたといえるのかもしれない。
「斬新なことはやっていなくて、やるべきことだけを淡々とやっている感覚です。僕がすべきことは、大元の資料を全部読み込み、まずは事業を構造的に理解する。その上で、本質を問いかけながら、事業にインパクトを与えるポイントにフォーカスして、PDCAを回し続ける。だから敢えてコンテンツにハマりはしないし、業界やフェーズへの固執はあまりないんですよ。むしろ、その視点を忘れてはいけないと考えています。」(棚田)
さまざまな企業でビジネススキームを網羅し、事業開発を経験してきた太田。自らのビジネス人生、“BizDev”の歩みを振り返り、「非連続だ」と表現する。
「モバイル通信業界で栄枯盛衰をたくさん眺めて、撤退のつらさを見てきました。それ故、何かを始めるときに、いつか自分が撤退することを前提にしてしまう。手がけているコンテンツにのめり込みはするものの、次のアサインがあればあっさり手放します。非連続に成長し続けるためには、そうしたマインドが必要かもしれませんね。」(太田)
太田にDMMで活躍する人物像を問うと、「課されたミッションだけを見ている人よりも、商売全体が好きで儲ける感覚を持っている人」だという。
「僕らに求められてるのは社会に対して価値を提供し、儲けること。DMMは60にもわたり横に広く事業展開するだけではなく、成長事業をさらに伸長させるべく、縦にも事業を展開し続けている会社です。事業内での自分の役割を理解し、責任を感じられる人が活躍できるんじゃないでしょうか。」(太田)
<続きは後編へ>